2022.01.13 【放送/機器総合特集】放送機器各社 22年の戦略ソニーマーケティング ソニーマーケティングジャパン 古田了嗣執行役員副社長

古田 副社長

B2Bビジネス拡大

統合した販売プラットフォームを生かす

 昨年4月にソニーグループが誕生し、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)事業をソニーが継承して新たなスタートを切った。新体制発足に伴い、これまで放送機器など法人向け(B2B)事業を手掛けていたソニービジネスソリューションと、国内のセールスとマーケティング機能を担うソニーマーケティングも経営統合した。

 両社を統合することで民生用からB2B、モバイルまでの幅広い分野を統合した統一の販売プラットフォームを実現できるようになった。

 今年度はこれまで蓄えてきた技術や製品をお客さまや特約店と共有しながら、統合した販売プラットフォームを生かしたクロスセルを最大化し、新しいB2Bビジネスを拡大していく元年にしたい。

 映像制作業界では、放送波に加え、ライブ配信やオンデマンド配信などが広がりを見せている。こうした中で当社は4K、8K、HDRといった高付加価値コンテンツ制作と、高効率の映像制作ワークフローの実現を支援するという2軸で取り組んでおり、映像制作のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。

 特にソニーグループが注力しているリアリティー(映像の表現力)・リアルタイム(ライブ)・リモート(遠隔)の「3R」テクノロジーを活用し、お客さまにさらなる感動や体験を届ける製品・ソリューションの提供に取り組んでいる。

 放送・映像制作のDXの支援では、リソースの効率的な分散配置を可能にし、高付加価値・高効率な映像制作を実現する「IPライブ映像制作ソリューション」を提案してきた。現在、世界で150システム以上が導入され、さらに広がりを見せている。

 高効率な映像制作に向けては、クラウドや人工知能(AI)を活用したソリューションを強化。クラウドベースで効果的なメディア管理・運用を実現する統合プラットフォーム「Ciメディア・クラウド・サービス」や独自のAI技術などを使い、番組制作の映像編集・管理を効率化するクラウドサービス「メディア・アナリティクス・ポータル」などを展開しており、引き合いも増えている。

 さらに昨年12月、映像制作ワークフローを一新するカメラ連携クラウドサービス「C3 Portal」を開始した。今後はアマゾンのクラウド「AWS」を活用したクラウド中継システム「M2 Live」の提供も予定する。

 昨年10月にはクラウド中継システムを使い、フジテレビジョン、サガテレビ(佐賀県)と共同でリモート制御によるライブ番組制作の実証実験を実施し成功した。今後、クラウドとオンプレミス(自社構築運用)のメリットを生かしてハイブリッド型で運用できる仕組みづくりを進め、もう一次元上の提案を行っていきたい。

 映像の表現を広げるイメージング商品群も強化している。昨年のInterBEEでは、世界で初めて展示したスーパー35㎜4K単板CMOSイメージセンサー搭載のシステムカメラ「HDC-F5500」や、シネマカメラ「VENICE 2」、ソニー初のプロフェッショナルドローン「Airpeak」などが高い関心を集めた。今後も映像制作の需要拡大を見据えて製品ラインアップを拡充していく。

 当社は販売会社でありながら、システムインテグレーター(SI)としての機能も持つ。さらに、独自のAIを開発できる部隊を持っていることが、他社にない強みだと思っている。

 マーケットインの視点で、常に柔軟に対応できるソリューションプロバイダーを目指す。お客さまにとって一番頼れるパートナーとして自分たちを位置付けてもらえるようにしていきたい。