2019.12.11 【セミコンジャパン2019特集】半導体世界市場 19年、メモリー中心に低迷続く 20年は5Gなど牽引で回復予想

世界の半導体製造装置出荷額の推移

 19年の世界の半導体市場は、米中貿易摩擦などの先行き不透明感を背景に急速に悪化した昨年後半からの流れを引き継ぎ、年初からメモリーを中心に低迷が続いている。米半導体工業会(SIA)によれば単月の売上高は1月から10月まで前年同月比マイナス。主要地域全てが前年割れと厳しい状況だ。

 世界半導体市場統計(WSTS)が4日に発表した市場予測によると、19年は前年比12.8%減の4090億ドルと、4年ぶりの前年割れが見込まれており、2桁減となるのは実にITバブル崩壊直後の01年以来となる。

 ただ、市況は徐々に復調の兆しを見せている。単月の売上高は7月から前月比ベースで4カ月連続プラスを維持。7-9月期の海外主要半導体メーカーの業績も、季節要因による需要増も追い風となり、前期ベースでは多くが改善を見せた。

 WSTSでは、世界経済がこれ以上悪化しないことを前提とした上で、次世代高速通信規格5Gの普及やデータセンター関連投資の回復、さらに次世代ゲーム機などがけん引し、20年の半導体市場は前年比5.9%増を示すと予想している。また、日本の半導体市場については、円ベースで19年が同12.7%減の3兆8521億円と低迷するものの、20年には同1.7%増え3兆9162億円になるとみている。

製造装置も回復の兆し

 半導体市場の動向と連動して、世界の製造装置市場も19年は苦戦が続いた。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によれば、7-9月の製造装置出荷額は149億ドルで前年同期比減少。前年割れはこれで4・四半期連続である。一方、前期比ベースでは12%増と18年第1四半期以来、6・四半期ぶりのプラス成長を記録し、回復への道筋が見えたとする向きもある。製造装置市場は全般的には低調だが、台湾と北米だけは年初から前年同期比プラス成長で推移している。

 台湾の成長をけん引しているのはファウンドリ最大手のTSMCだ。先進の7ナノメートルに対する旺盛な需要を受け、生産力を拡大しているほか、20年3月に計画前倒しでEUV露光技術を本格導入した5ナノメートルプロセスの量産を開始する予定で、その準備に向け装置の購入を進めている。さらに最先端パッケージングの技術開発にも投資している。

 TSMCは、年初に19年の設備投資を100億-110億ドルとしたが、10月には140億-150億ドルと前年比4-5割増の水準に引き上げた。

 北米も7-9月の製造装置出荷額が前年同期比96%増、前期比47%増を記録。主にインテルの投資増額によるものとみられる。同社は、年初計画では19年設備投資を155億ドルと予想したが、10月の7-9月決算発表時に最大160億ドルに上方修正。14ナノメートルCPUの増産が目的との見方がある。

 半導体製造装⁣䀃丆界最大手のアプライドマテリアルズは、11月の直近の四半期決算発表時に「製造装置需要は健全に上向いている」と指摘した。ロジック分野の堅調な投資に続いて、メモリー分野の復調と中国の動向が20年の製造装置市場回復のカギを握る。

【セミコンジャパン2019特集】目次

SMARTアプリケーションの総合展 きょうから東京ビッグサイトで
●半導体世界市場 19年、メモリー中心に低迷続く 20年は5Gなど牽引で回復予想
東京ウエルズ IoTデバイスのファイナルプロセスを紹介
レーザーテック アクティニックEUVパターンマスク欠陥検査装置など検査技術を訴求
THK LMガイドや新IoTサービスを紹介
クラボウ ウエハーダイシングテープ用基材フィルムなど出品
新コスモス電機 一点式ガス検知警報器など出展