2022.07.07 【5G関連技術特集】FFPAが5G対応のSRF無線プラットフォーム通信規格技術仕様Ver.2.0を策定
フレキシブルファクトリパートナーアライアンス(FFPA)は、SRF無線プラットフォームを第5世代移動通信規格5Gに対応させるための技術仕様Ver.2.0を策定した。この技術仕様では、5Gと免許不要周波数帯の無線システムなどを適切に制御することで、製造現場におけるさまざまな用途に対して、より安定した通信や効率的な周波数利用を実現する。さらに、マルチホップ通信機能が追加され、安定した無線通信のカバレッジを容易に拡大できるようになる。
背 景
製造現場ではさまざまな用途でさまざまな規格の無線通信が利用され、異なる世代の規格や異なるベンダーによる通信機器が混在している。この状況では、従来の無線システムの場合、システム間の調整が行われず、通信障害などの問題が発生することがある。また、複数の無線システムを利用する場合、互いの干渉による通信品質の劣化など、さまざまなリスクがある。これらのリスクを低減するためには、通信や電波の状態を製造現場全体で可視化し、適切に無線機器を制御し、統合管理することが重要になる。
FFPAはこうした課題に取り組み、情報通信研究機構(NICT)の提案によるSRF無線プラットフォームをシステムの基本構成として採用し、複数の無線システムが混在する環境下での安定した通信を実現する通信規格を策定してきた。各ベンダーが開発した無線機器をつなぎ、無線通信の可視化と統合管理を容易に実現するため、SRF無線プラットフォーム通信規格技術仕様Ver.1.1を策定し、2021年10月に一般公開した。
SRF無線プラットフォーム通信規格技術仕様Ver.2.0の概要
FFPAは、SRF無線プラットフォームの通信規格に関する最新の技術仕様としてVer.2.0の策定を完了した。仕様では、一般公開中のSRF無線プラットフォーム規格技術仕様Ver.1.1に対し、5Gへの対応の追加と、マルチホップ通信などを可能とするネットワークトポロジーの拡張を行っている。
▷5Gへの対応:技術仕様Ver.2.0では、SRF無線プラットフォームが適切に制御し統合管理を行う対象とする無線システムとして、技術仕様Ver.1.1までに対応してきた免許不要周波数帯の無線システムに加え、新たに5Gを追加した。Ver.2.0を用いることで、5Gと免許不要周波数帯の無線方式の双方に対応した無線機器は、より安定した通信や効率的な周波数利用ができるようになる。例えば、5Gと免許不要周波数帯の無線方式の複数方式をサポートするコンボデバイスを搭載する自律移動ロボット(AMR)が導入された現場においては、①AMRが免許不要周波数帯の無線方式で通信を行いながら移動する際、その周辺に設置されたほかのデバイスの通信により免許不要周波数帯が混雑している場合には、通信方式を5Gに切り替える②AMRが移動や停止などの制御に関するデータと、AMRに搭載されたカメラからの動画データを、それぞれ無線で送受信する際、周波数帯の混雑状況に応じて制御に関するデータと動画データを免許不要周波数帯の無線方式と5Gを適切に切り替えて送受信する、といった制御が自律的に行われる。
▷ネットワークトポロジーの拡張:Ver.2.0ではSRF無線プラットフォームを構成する要素の一つであるSRFゲートウェイでネットワークを中継するマルチホップ通信機能を追加した。マルチホップ通信では、SRFゲートウェイ間の無線接続や、SRFデバイスを経由したSRFゲートウェイ同士の接続が可能になる。これにより、安定した無線通信のカバレッジを容易に拡大できるようになる。また、有線ネットワーク上にSRFゲートウェイを設けることで、有線/無線混在ネットワークにも対応し、例えば5Gと有線の並列伝送のように、複数回線統合制御の柔軟性を向上させることができる。
同技術仕様Ver.2.0は、現在、FFPAの会員に対して公開されている。
<資料提供:FFPA>