2022.08.25 【化学材料特集】JFEケミカルフェライト、車載市場強化へ新設備導入

フェライトコア

 JFEケミカルは、エレクトロニクス市場向けにさまざまな機能性材料(フェライト、負極材、精密化学品など)を製造販売している。

 フェライトは、JFEスチールの製鉄所で副生する酸化鉄を活用し、原料から製品まで一貫生産体制を整備、高品質フェライトコアを安定供給している。

 今後はEV/HEV/PHEVなどに搭載されるDC-DCコンバーターやインバーターなど、高特性が求められる車載市場への展開を強化するため、倉敷工場(岡山県倉敷市)では昨年度に新規設備を立ち上げた。タイ工場と中国工場でも車載市場向け製品の生産が順調に増加している。

 負極材事業は、同社が実質的にオンリーワン製品と自負するハードカーボン負極材とニードルコークス系負極材を軸に、今後大きな需要が期待される車載リチウムイオン電池(LIB)向けビジネスを中心に大きく事業を拡大していく方針。

 ハードカーボン負極材は、同社独自の技術で優れた出力・耐久性を有し、車載LIB市場向けなどに採用され、売り上げを拡大している。

 ニードルコークス系負極材は、中国宝武炭材との合弁事業「烏海宝傑新能源材料有限公司」に40%出資。昨年11月に稼働を開始し、現地の安価な電力代などでコスト競争力を有した負極材を生産している。

 そのほか、新たな被覆天然黒鉛系負極材の開発にも注力している。

 精密化学品の基盤事業は製鉄副産物コールタール中の希少成分の有効利用。インデン誘導体やフルオレン誘導体は光学樹脂、レジスト材料向けに高い供給実績を持っている。

 さらに、芳香族化合物を活用した事業領域拡大に努めている。ポリイミド材料では、原料からポリイミド前駆体のワニスまで対応できる体制をとり、電子基板、複写機用ベルト、電池セパレーター向けに展開する。

 アセナフチレンや特殊フェノール樹脂などは樹脂改質材として、高耐熱性と低誘電損失が求められる5G(第5世代移動通信規格)、EVなどの最先端分野向けに積極的な開発とアピールを進める。