2022.09.26 【九州・山口産業特集】九州・山口で活躍する企業・団体の事業戦略 DELIA
中村 代表理事
ローカルVPPに注力
EV充電に太陽光活用実証
DELIA(ブロックチェーンによる分散エネルギー情報基盤アライアンス、福岡市早良区)は、世界的なEV(電気自動車)へのシフトなどを追い風に、EV充電に太陽光発電を活用するローカルVPP(仮想発電所)を訴求している。
地域マイクログリッドのツールとして、EVは再生可能エネルギー導入や防災性、電池不足の社会的問題の解決に有効だ。DELIAはEVをどう活用するかに着目し、実証を重ねてきた。
福岡のコンソーシアムのスマートハウスで実証を始め、横浜を経て、現在は、より小さい単位である一戸建て住宅で実証を継続中。PV(太陽光発電)、蓄電池、EVをシームレスにつなげる最小単位のマイクログリッドを実際に使い、次世代EMS(エネルギーマネジメントシステム)プラットフォーム「HyperDeMS」を作り上げている。
自立性を大事にしたエネルギーシステムのコンセプトは「EV充電を太陽光エネルギー(PV)で」。
家をまるごと自律運転することで防災性を確保し、EVを蓄電池として利用することで再エネの地産地消率を向上させる。
再エネのトレーサビリティーと電力ピークを抑えて系統の平準化、PVの電力変動の系統への抑制などで次世代EMSとクリーンなエネルギーの活用を実現する。停電実験や、EV2台で双方向の融通も検討。
中村良道代表理事はエネルギーと情報を共有・同期することで「作る、賢く使う、蓄えるということがうまくいく」と語る。実証で得られたデータを見える化し、解析ツールは今後、継続的に開発。ウェブ対応のインターフェース強化やクラウドへの実装、ディープラーニングでナンバープレート認識なども想定している。
HyperDeMSはブロックチェーン技術を応用した「MicroChainPRO」を利用しており、ブロックチェーンの改ざんができない信用性をビジネスに生かし、さまざまなサービスへ展開できる。
EVの充電ステーションはまだ少ないが、「EVをトータルサービスとして提供する視点も必要なのでは。EVは走るだけではない」とし、PVでEVを動かすことで新しい世界の構築を目指す。