2022.09.27 岐阜県恵那市、日本ガイシ、リコー、IHI 脱炭素・経済循環システム実証事業を10月から開始 官民連携で好スキーム確立目指す

会見する恵那市の柘植部長、日本ガイシの村本部長、リコーの東エキスパート、IHIの能勢部長(右から)会見する恵那市の柘植部長、日本ガイシの村本部長、リコーの東エキスパート、IHIの能勢部長(右から)

 岐阜県恵那市、日本ガイシ、リコー、IHIは、脱炭素・経済循環システムの実証事業を10月から実施する。地域新電力会社・恵那電力(恵那市)の再生可能エネルギーによる発電および売電事業を通じて市が得た環境価値を、クレジット化し市内で活用。地域経済の活性化とともに、再エネ導入拡大のサイクルを回すことで、ゼロカーボンシティーの実現を目指す。

 再エネの自家消費によるCO₂(二酸化炭素)削減などの環境価値を取引する仕組みはこれまでも例があるが、データ収集や各種書類による申請など、アナログで煩雑な作業が発生し、手続きに時間がかかるという課題があった。

 日本ガイシとリコーは4月から、恵那電力の再エネの発電から消費、余剰発電の電力貯蔵用NAS電池への充放電も含めた全てのプロセスのトラッキング(追跡)を、ブロックチェーン技術を活用して行う実証事業に取り組んでいる。

 市の公共施設で発電されて自家消費した再エネ電力の消費はトラッキングされ、CO₂削減量として市が保有する環境価値と見なされる。

環境ブランド向上

 今回の実証事業では、この環境価値を、IHIが開発した環境価値管理プラットフォームにより、国のJ-クレジット制度を通じてクレジット化。クレジット化された市保有の環境価値を市内の事業者や生産者に売却することで、環境価値が付加されたカーボンオフセット商品の創出を促し、SDGs未来都市に選定された恵那市の環境ブランド向上にも寄与する。

 クレジット化までの手続きに時間がかかるという課題も、リコーとIHIのデジタル技術やIoT技術により、大幅な効率化を可能にした。

 実証事業を通じて恵那市のゼロカーボンシティー実現に貢献するとともに、全国の自治体のモデルケースとなる脱炭素・経済循環システムを確立し、50年のカーボンニュートラル実現を目指す。

 将来的には、同事業を通じて得た市外からの資金環流を原資として、さらなる再エネ導入や省エネ化の促進につなげ、環境価値を最大限活用した環境・経済の好循環スキームを構築する。

連携を強調

 このほど東京都内で行われた実証事業開始の会見には、恵那市の柘植克久水道環境部長、日本ガイシの村本正義エナジーストレージ事業部管理部長、リコーの東義一IoTソリューション開発センターエキスパート、IHIの能勢裕司ソリューション営業部長らが出席。カーボンニュートラルに向けた連携を強調した。