2022.11.29 【ミリ波】心を伝える、芸を伝える
狂言師で人間国宝の野村万作先生の舞台を見に行った。御年91歳。「最近は萬斎の父って紹介されることが多くてね」と相好を崩されるが、孫や弟子と務める舞台は良酒のように心にしみいる▼演じたのはおはこの「木六駄」。叔父のもとへ歳暮の薪や炭を牛に背負わせて雪の峠を登るのだが、寒さゆえ途中の茶屋で土産のたる酒を空けてしまい薪などを残す太郎冠者の役。送り状にある荷が無いと叔父に詰問されるが、言葉遊びのような言い訳が絶妙。牛を追う場面は白く積もった雪が見えるよう... (つづく)