2023.01.01 新しい日常をより良く 電波新聞社社長 平山勉
あけましておめでとうございます。謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
新型コロナウイルス感染症との生活も4年目に入りました。2022年は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まったことに起因しエネルギー価格が高騰。前年から続いていた部材不足や素材価格にも悪影響を及ぼしました。さらに、米国などとの金融政策の違いから急速な円安が進み、多くの企業が対応に追われた一年でした。世界経済はインフレ進行による景気後退が懸念され、さらに中国の政策の動向が注目されるなど、依然として先行きが見通しづらい2023年の船出となりそうです。
電機業界を見ますと、22年の電子情報産業の世界生産額が過去最高を更新しました。電子機器や電子部品は苦戦を強いられましたが、デジタル化などの動きに支えられています。
世界生産額では前年比微減だった電子部品市場は、中国のロックダウンや景気停滞などの影響を受けましたが、円安により輸出ビジネスを後押ししました。この先は次世代自動車やデジタル関連、カーボンニュートラルなどの領域が成長をけん引しそうです。半導体市場は、ようやく部材不足の緩和の兆しが見えてきました。23年には自動車向けなども回復が期待できそうです。昨年設立された国産の半導体メーカーの立ち上がりにも期待しています。
家電メーカーは、巣ごもり特需の反動減に加え、半導体不足などによる納期の遅れや品不足が生じた厳しい一年でした。コロナ禍で注目された空気清浄機やより上質なおうち時間を過ごせる巣ごもり家電だけでなく、Z世代を中心に〝タイパ(タイムパフォーマンス)〟を意識した層が増え、改めて時短家電なども注目されています。またインターネットにつながるIoT家電も増えており、23年はインターネットへの接続率の改善を踏まえた暮らし全体のアップデートが期待されます。
家電流通業界は、単なる小売りからの脱却が例年以上に求められる一年になるでしょう。家電製品の長寿命化が進みつつある中、モノ売りにとどまらず、お客さまの暮らしの質を改善する支援に重きを置いた事業への転換が進むと考えます。最近はクラウドファンディングを活用したテストマーケティングも活発です。レンタルやサブスクリプションモデルなど、消費者と家電の向き合い方の変化が加速する一年になるのではないでしょうか。
情報通信分野では、デジタルトランスフォーメーション(DX)支援が一層進みました。通信ではビヨンド5G(6G)の30年の社会実装に向けた取り組みも本格的に始まっています。これからは仮想空間を活用して社会変革していくデジタルツインやメタバースなどの利活用が、電機業界だけでなくさまざまな産業で期待できそうです。
40年にグローバルで120兆円市場にもなるといわれている宇宙産業にも注目しています。昨年、衛星を使った民間向け通信サービスが日本でも始まりました。民間主導の宇宙開発も競争が始まっています。電機業界が培ってきた技術力を生かしていく場にもなってくると考えています。
23年は海外との行き来も復活し、多くの外国人観光客が日本に訪れ、にぎやかな一年になりそうです。コロナ流行前とは異なる新しい日常をより良くするために、私どもも社員一同、モノづくり社会に貢献できるよう、まい進してまいります。本年もよろしくお願いいたします。