2023.01.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エレクトロニクス商社の23年事業戦略 新規事業やソリューション拡充

ソリューション事業をを拡充するエレクトロニクス商社

 エレクトロニクス商社の市場環境は半導体不足の継続、部材や物流費の高騰、為替変動など変化が激しい。その中にあって新規事業の拡大、ソリューションの拡充など、各社それぞれに経営努力を重ねている。

 2022年はコロナ禍から立ち上がった製造業の高水準の設備投資需要に支えられ、エレクトロニクス商社はおおむね好業績を収めた。23年は総じて弱含みの予想だが、各商社はソリューションの拡充を進める。

 マクニカは「変化の先頭に立ち、最先端のその先にある技と知を探求し、未来を描き〝今〟を創る」をパーパスに掲げる。半導体・電子デバイス事業、ネットワーク事業を柱に、23年3月期売上高で9700億円を見込み、1兆円に迫る。

 菱電商事は、幅広い事業領域でグローバルな事業創出会社として新しい価値の創造を目指し、工場向けネットワークカメラソリューション、次世代型植物工場など多様な事業を展開している。

 立花エレテックはFAシステム事業でM2M、システム、ロボット、3Dプリンターの重点ビジネスを拡大。半導体デバイス事業は液晶、アナログIC、ストレージなど6プロジェクトで品ぞろえの強化、保有技術力のブラッシュアップを進める。伯東は各事業においてソリューションビジネスの強化に重点を置き、部門横断のプロジェクトチームを中心に活発に議論を交わし、事業を越えてのシナジーも得られるようになってきた。

 飯田通商は、ヒロセ電機やローム製半導体、ニチコン、岡谷電機産業製受動部品などを核に回路ブロック構成部品のトータル提案を強化している。ソニーと代理店契約を結びカメラ(イメージセンサー)がキーとなり、製品情報をいち早くつかむことで受動部品も含め産業機器の引き合いが増えている。

 カナデンは半導体・デバイス分野で、韓国や台湾をはじめとする海外商材の拡大に向け、韓国KECのパワーデバイスや小信号デバイスの取り組み体制を強化した。菱洋エレクトロは中国や台湾、韓国の新規商材を拡大。ソリューション事業では医用画像を中心とした医療分野や、工場などの監視・予知保全用途にNVIDIA製品によるAIを積極的に活用している。

 ネクスティエレクトロニクスは、新たな商材として燃料電池や、販売代理店契約を結んだカナダのZEROKEY社の超音波を使った「高精度屋内位置測位システム」などの売り上げ拡大に取り組んでいる。三信電気はリソースを海外半導体にシフトし、23年3月期上期には海外半導体メーカーの売上高が前期比約70%増加した。「三信ソリューションフェア2023」を1月27日にスペースFS汐留(東京都港区)で開催する。

 63年4月創立のオーエスエレクトロニクスは23年4月に60周年を迎える。米オンセミの正規代理店として事業を拡大し、日本国内だけでなく中国、台湾、米国など海外サプライヤーの半導体製品を幅広く扱う。米トランスフォームと代理店契約を結び、GaN(窒化ガリウム)デバイスの販売を始めた。

 シナダインは台湾や米国、欧州、豪州などの海外半導体や光エレクトロニクス関連の、特徴ある商材の拡充で事業を拡大している。

自動車分野を強化

 グローセルは自動車向けのルネサスエレクトロニクス製品、産業分野向けのH&CSB、売り上げが順調に拡大している高感度半導体ひずみセンサー「STREAL(ストリアル)」を引き続き事業の柱に据える。

 たけびしは成長戦略として海外、医療、自動化、オリジナルの4分野に取り組んでいる。風力発電事業を推進しており、三重県に建設中の風力発電1号機が今春稼働の予定だ。岡本無線電機は、国内で重点取り組みと位置付ける「自動車」「医療」「環境」の3分野への活動を、海外でも水平展開する。

 明光電子は新規商材として「におい」を見える化するCMOSセンサー、IoT磁性薄膜センサー、後付け電力センサーモジュールなどに注力する。

 ミカサ商事は昨年、ポートフォリオを見直した。事業をエレクトロニクス商社機能、ハードとソフトを融合した高付加価値のソリューション機能、インターチップ、ガウディ2社を核とするメーカー機能の3本柱にし、高収益力基盤の確立に力を入れる。

 リバウンドエレクトロニクスは英国に本社を構える電子部品・半導体の独立系代理店で、多種多様な製品を供給している。代理店ブランド「ヌーヴォニクス」商品としてアナログ系半導体やコネクターなど大手メーカー製品と互換性のある製品を取りそろえる。

 コアスタッフはウェブ販売と従来型の営業を組み合わせたハイブリッド営業を強みとする電子部品商社。タイ現地法人「コアスタッフ(タイランド)」の体制を強化し、ASEAN地域でのビジネス拡大に取り組む。エム・アールエフ(M・RF)は、米ミニサーキット社のハイパワーアンプを活用した加熱用半導体式発振器などの提案を強化する。