2023.05.24 【次世代自動車用部品・材料特集】製品別動向

車載高速インターフェース向け高インピーダンス積層コモンモードフィルター

 自動車の進化に向けた電子部品の技術開発が進んでいる。各社は、ADAS/自動運転技術の高度化や電動化をサポートする電子部品・モジュール開発により、自動車業界の課題解決への貢献を目指す。

LiDARなど開発が活発化

 ▽ADAS/自動運転関連部品

 自動運転実現には、通信性能の高度化や高精度物体認識、高度な車両制御、AI(人工知能)やエッジコンピューティングを含む情報処理などさまざまな技術の融合が必要。搭載部品への信頼性も極めて高い。電子部品各社は、これらを実現する要素として、センサーや制御デバイス、通信デバイスなどの開発を活発化させている。

 ADAS/自動運転向けのセンサーフュージョンでは、高画素センシングカメラやミリ波レーダー、LiDAR(ライダー)、赤外線センサーなどの開発が活発。LiDARは機械式に加え、ソリッドステート式LiDARの開発が進展。車載カメラは1メガピクセルへの移行が進展し、今後は2メガ/3メガクラスへの移行も進む見通し。

 衛星位置測位用のGNSS(全地球測位システム)モジュールは、6軸センサー(加速度+ジャイロ)などを活用して、トンネル内でも継続できるデバイスが開発されている。

小型・高効率・高電圧などを追求

 ▽電動車用部品

導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー

 電動車は、1充電当たりの航続距離増大や電費向上が求められる。このため、バッテリーやインバーター、コンバーター周りに搭載される電子部品には、EV(電気自動車)性能向上のために厳しい仕様が要求される。

 インバーターやコンバーターは、小型で高効率が求められ、高電圧駆動のパワーデバイスが不可欠。通常のIGBTはシリコンベースのウエハーを使用するが、近年はSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いたパワーデバイス開発が活発化している。

 こうした動きに伴い、回路部品では高周波スイッチング、高電圧化に対応した新製品開発に弾みがついている。コンデンサーは小型、大容量、長寿命、低ESRなどが追求され、抵抗器は小型で高電圧、大電力、低抵抗化などが追求される。トランスやコイルは、小型で低損失、高効率化などの開発が進む。

 今後のEVでは、モーターとインバーター、ギアを一体化したユニット「E-Axle(Eアクスル)」の需要増も見込まれており、Eアクスル用の部品開発にも力が注がれる。

開閉検知用検出スイッチなど

 ▽安全・快適系部品

置き去り防止用ミリ波センサー

 最近の車は、乗員の安全性や快適性、利便性を高めるための機能拡張が進み、電子部品の新規需要を創出している。

 ドアやトランクなどの開閉検知用検出スイッチは、冗長性確保のため、2回路の同期切り替えが可能な製品などが開発されている。

 近年は車室内での児童置き去り事故多発を踏まえて、車室内監視用デバイス開発も活発だ。光学式(カメラ)以外にパルスレーダー方式やFMCWレーダー方式、静電容量方式などの各種方式のデバイスが提案されている。

 自動走行車両では、走行中の運転者の体調を車自身が把握し、自動運転モードと手動モードの切り替えを行う必要がある。これらに対応するためのドライバー生体監視システム向けセンサーの開発にも力が注がれている。