2023.07.24 LiBリサイクル現場に迫る EVに必須、地政学でレアメタル注目の中
反応槽の全景
JX金属が取り組む、使用済み車載用リチウムイオン電池(LiB)のリサイクル実証が順調に進んでいる。含まれるレアメタルを再び車載用電池の原料として使用する「クローズドループリサイクル」に取り組んでおり、ベンチスケールで、欧州の基準とされる「リサイクル収率」を達成しつつある(既報)。拠点となるJX金属サーキュラーソリューションズ(JXCS、福井県敦賀市)などで、生産技術開発や実証を行っている。
同社グループでは、JXCSと茨城県日立市の拠点、欧州での事業化推進を目指すドイツ拠点の3カ所を結ぶ形で推進している。
LiBは、化学反応(酸化・還元)を利用して直流電力を生み出し、 高エネルギー密度、高出力密度、電池電圧高などが特長。世界のLiB需要予測では、脱炭素化に向けて世界各国で電気自動車(EV)普及政策に取り組まれている中、需要も拡大している。
一方で、保管・輸送・処理時の発火や、含有される有害物質による健康・環境被害など、難しさもある。そこで、火災や健康・環境被害を防ぎ、適切な回収や安全な無害化プロセスを進めることが必要となる。
さらに、資源性(偏在性)も課題。特に地政学的リスクの高い国に生産が偏って生産が寡占化し、中国企業の影響も見られる。資源確保や資源循環の観点からも、LiBの適正なリサイクルが要求される。
こうした中、欧州電池規則が世界のLiBリサイクル業界共通のベンチマーク化。リサイクル事業者は、各金属元素ごとに規定される「リサイクル収率」の達成が求められる。
同社は、廃車載LiBの安全・適切な無害化と水平リサイクルによる資源循環の実現、クローズドループリサイクルを目指している。
拠点公開に参加し、現場に迫った。
(25日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)