2020.02.19 【ルームエアコン特集】流通動向 夏モノの売り場転換急ぐ 早めの需要刈り取りへ
今月7日にリニューアルしたヤマダ電機LABI1日本総本店池袋。エアコン売り場は5階から3階に移動した
全国の家電量販店では、主に暖冬の影響でエアコン販売に陰りが見える。新型コロナウイルスの感染拡大で空気清浄機能搭載機種への注目がにわかに高まるなど、社会情勢を反映した動きも表面化しつつあるようだ。
エアコン需要のピークに東京五輪・パラリンピックがぶつかることから、今年の夏商戦は見通しにくさも指摘されている。早めの需要刈り取りを目指して夏モノ商材への売り場転換を急ぐ考えを示す店舗も出始めている。
展示フロア移す
ヤマダ電機LABI1日本総本店池袋は7日、大塚家具とのコラボ店舗としてリニューアルオープン。エアコン売り場も従来の5階から3階へとフロアを移し、メーカー別陳列など展示手法も変えた。2台同時購入で最大2万円引きにしたり、長期無料保証を付帯したりと需要喚起に努めている。
コジマ×ビックカメラ用賀店(東京都世田谷区)は、エアコンの早期提案を強化するために、早めに夏モノ商材の売り場づくりを進める考えだ。「今年のエアコン需要は見通しにくい。早めの提案を行うためにも、夏モノ商材の売り場づくりに今から取り組んでいく」(御代田了亮店長)。
上新電機豊中インター店(大阪府豊中市)によると、「エアコンは初売りを終え1月後半から失速したが2月に入って回復基調に。特に第2週目の土日から売り場へ来る客が増えた」という。
同店ではエントランスに新・旧型を並べて展示。旧型のお買い得感を視覚化してアピールし購買意欲をかき立て、「売り場ではお客さまの要望に沿った製品を提案し、納得して購入してもらう」(同店)流れで訴求している。
上新電機高槻店(大阪府高槻市)は、「エアコンに強い店」(同店)として、冬も夏と同規模のエアコンコーナーを確保。約280台を壁掛け展示するスペースがある。増税後に一時落ち込んだエアコンも年末年始に持ち直し、暖房能力が高いハイエンド製品を積極提案している。
省エネモデル提案
名古屋地区の家電量販店は、暖冬の影響を受けて1-2月のエアコン販売は前年割れの状況が続く。このため、最新省エネモデルによる電気代節約提案で単価アップを狙う展示が目立つ。
エディオン名古屋本店(名古屋市中村区)は、2.8kWと4kWの売れ筋が日立、パナソニック、三菱、ダイキンなどで、自動掃除や除菌対応の省エネモデルを提案している。
ビックカメラ名古屋JRゲートタワー店(名古屋市中村区)は、買い替えで最大3万㌽が付くこと、複数台数購入のお買い得特典などを訴求し、高機能省エネモデルを来店客に薦めている。
エディオン広島本店(広島市中区)は、広島地方で連日寒い日が続いており、エアコンは堅調な売れ行き。蔦屋家電と合同で7-9日に開催した「決算大処分市」でも販売は好調だった。ここへきて関心が高まっているのは空気清浄機能付きエアコン。新型コロナウイルスの影響で、空気清浄機の売れ行きも上向いている。
エアコンは複数台数購入での割引特典をアピールし、まとめ買いを推進。コンパクトなベーシックモデルから新製品のハイパワーエアコンまで幅広いニーズに対応している。
ベスト電器福岡本店(福岡市中央区)は、1月中旬から2月の頭にかけて、エアコンの販売台数は前年並みで推移している。暖冬の影響で単価は下がっているものの、スタンダードモデルの販売がけん引し、台数ベースでは好調な様子を見せる。今後は夏に向けて早期販売に力を入れる方針だ。
ヨドバシカメラ仙台(仙台市宮城野区)は、暖冬の影響もありエアコンの販売が鈍化している。ただ、2月2週目後半から寒さが増し一時的に動きが戻っている。
同店では、1月中旬過ぎから気温が例年を上回る日が続くなど、暖冬の影響でエアコンを含む暖房商品の動きが鈍っていた。2月2週目後半からの寒波の影響で動きが一時的に戻り、寒冷地タイプのエアコンや暖房の無い部屋にエアコンを新設するなどの動きが見られた。
【ルームエアコン特集】目次
●高付加価値品販売で利益重視へ
●流通動向 夏モノの売り場転換急ぐ 早めの需要刈り取りへ
●パナソニック「エオリア」Xシリーズ 最高濃度「ナノイーX」搭載
●ダイキン工業「うるさらX」 水内部クリーン 結露水で洗浄
●富士通ゼネラル「nocria」Xシリーズ ダブルAIシステム採用
●三菱電機 霧ヶ峰FZシリーズ 各種技術採用で汚れ防止
●シャープ L-Xシリーズ クラウドAIで睡眠に合わせ運転
●コロナ Wシリーズ 年間の快適性追求