2020.02.25 【製品レビュー】
リアルタイム音声翻訳機「Langogo」を使ってみた

 19年11月から日本国内で本格展開を始めたリアルタイム音声翻訳機「Langogo(ランゴーゴー)」。中国のLangogo Technology社が開発したもので、ボタン一つで「日本語→英語」「英語→日本語」といった双方向の翻訳ができるだけでなく、リアルタイムで翻訳し、文字起こしもできる優れものだという。電波新聞社編集本部で早速最新の「Langogo Genesis」を使ってみることにした。

リアルタイム音声翻訳機 Langogo(ランゴーゴー)


 電波新聞では海外での取材も比較的多く現地企業の取材をはじめ、米国、欧州、中国、アジアなどで開催される見本市(展示会)の取材などにも記者を派遣している。そうした中で問題となるのが言葉の壁だ。今までは不得手な英語を一生懸命駆使して取材をしてきたわけだが、本音は「通訳がいたらどれだけ楽か」と思うこともしばしば。そこで話題の音声翻訳機がどれほど使えるのか自ら試してみることにした。

Langogo(ランゴーゴー)の内容

 今回、Langogoを試す場に選んだのが今年1月に米ラスベガスで開催された世界最大のエレクトロニクス総合見本市「CES2020」。毎年電波新聞では数人の記者を派遣し開幕前のプレスカンファレンス(記者会見)から取材に当たっている。今年も4人を派遣。Langogoを持ち込み、記者会見や取材の現場で使ってみた。


機能はシンプルですぐに使える

Langogo(ランゴーゴー)は、機能がシンプルですぐに使える。

 試したのは「Langogo Genesis」で、手のひらサイズのタッチディスプレイ搭載モデル。AI(人工知能)を搭載し104言語に対応している。さらに世界で使えるモバイル通信機能eSIMを内蔵しているため、電源を入れるだけで通信もできる。このeSIMにより、どこに行ってもインターネットにつながり高度なオンラインでの翻訳ができるわけだ。

 操作画面も単純で、音声翻訳のアイコンをタッチした後、通訳してほしい言語を選び本体横のボタンを押しながら話すだけ。ただ、ぶっつけ本番ではいささか不安なため、CESに出張する前に試したところ、日本語から英語への翻訳はおおむね良い感じだ。

 ここで気になるのが他の言語。リリースには、「クラウド翻訳サーバーは中国・香港、アメリカ、フランス、日本の4カ所に設置。世界24のAI翻訳エンジンとつながることで高い翻訳精度を実現している」と書かれている。社内の中国人スタッフに中国語翻訳で話してみると意外にも簡単に通じた。調子に乗り、今度は韓国人スタッフで試すと、おおむね良いという。

 

オンライン通訳

Langogo(ランゴーゴー)のオンライン通訳画面。

 これなら期待が持てそうだと胸を躍らせながらいざラスベガスへ。実際、英語圏で旅行に使う会話であればLngogoでおおむね事足りる感じだ。今回、電波新聞社CES取材班4人のうち1人はフィリピン・マニラ支局の現地記者だったがLangogoを介しての英語でコミュニケーションもできた。


開幕会見

CESの会場でLangogo(ランゴーゴー)を使用。

 さて本題のCESは世界4400社以上が出展し会期中は18万人が訪れる非常に大きな見本市。開幕前から出展各社のプレスカンファレンスが目白押しで、我々取材班も手分けして取材に臨んだ。その中で今回は講演内容をLangogoの同時通訳機能を使ってリアルタイムに翻訳しテキスト化してみた。


会場で同時通訳中

CESの会場でLangogo(ランゴーゴー)を使って同時通訳中。

 本体の電源を入れるとラスベガスでも問題なく通信環境につながりオンライン化、同時通訳ができる状態になった。記者会見が始まると同時に同時通訳機能をスタート。英語の認識をすると同時にほぼリアルタイムで日本語訳がテキスト表示され始めた。

 ただここで一つの問題にぶつかった。英語から日本語の同時通訳の場合、言葉が途中でつまったり、言い間違えたり、途切れたりした際に翻訳がおかしくなってくる。もちろん誤認識もあるため、比較的うまく翻訳するところと、全く日本語として通じない文章の羅列になるところが出てきた。さらにスピーカから遠い場所だと音声を十分に拾えずに翻訳ができないケースなどもあった。


同時通訳はうまくいくときばかりではない…

Langogo(ランゴーゴー)の同時通訳でもうまくいくときばかりではない

 本体のすぐ近くで集音できる環境であれば比較的高精度で認識ができるものの、声が小さかったりマイクからの音が悪い場合などは誤認識しやすいため、今後の機能改善などにも期待したいところだ。また音声認識の精度は比較的高いものの、早口だったり、活舌が悪い場合は誤認識をしてしまうため、きちんと丁寧に話す必要がありそう。ここも機械学習などにより使い込めば改善される部分もありそうだ。


同時通訳の内容はPDF化し送信できる

Langogo(ランゴーゴー)で同時通訳したものをPDF化し送信

 翻訳したテキスト文章は英語と日本語が対になり記録されており、端末でスクロールして確認できるほか、PDFファイルでメール添付してパソコンやスマートフォンなどに転送することもできる。eSIMを搭載しているため、端末からすぐにメール送信できるところは便利だった。

 今回、初めて音声翻訳機を使ってみたが、通常の会話などでは不自由なく使える状態になってきていると感じた。半面で、講演の議事録作成や音声認識の精度などについてはもう一段磨きをかける必要がありそうだ。本格的な取材のパートナーとして使うには不十分なところもあるが、結論からすると海外の旅のお供として一台あって損はない。(編集本部・水品唯)