2023.09.06 光電融合導入や半導体超微細化に注力 新会社「NTTイノベーティブデバイス」が事業説明

記者会見するNTTイノベーティブデバイスの塚野社長(左)と富澤副社長=6日、東京都千代田区のNTT会見室

 NTTが光電融合デバイスの市場投入と事業拡大の加速に向けて6月に設立した新会社「NTTイノベーティブデバイス」の事業概要が6日、明らかになった。半導体製造プロセスの超微細化と、パッケージングの超密度実装、光電融合技術の導入を柱に事業を展開。早期に1000億円超の売り上げを目指す。

 NTTイノベーティブデバイスは、8月1日にNTTエレクトロニクスと統合し、光電融合デバイスの設計開発、製造、販売等の機能を備えた専業メーカーとして事業をスタートした。NTTエレクトロニクスのあった横浜市神奈川区に本社を置き、社員数は566人。

 6日には塚野英博社長と富澤将人副社長が記者会見し、事業戦略や光電融合デバイス開発の最新ロードマップを説明。「光導波路設計技術」「光調芯・検査の量産技術開発」などに取り組み、「より薄く小さく、より安い」(塚野社長)製品の市場投入を目指す。

 鍵となるのがロジックIC、アナログIC、シリコンフォトニクス変調素子・薄膜レーザー素子の三つのキーデバイスだ。塚野社長は「長距離、短距離で大容量をどれだけ運べるのかこの三つの構成要素が重要になる。装置が大きくなろうと小さくなろうとこれが基本セット」と説明した。

 NTTは今年5月、グループが掲げる光技術による次世代情報通信基盤「IOWN(アイオン)」構想の推進を軸とする新中期経営計画を発表。2027年度までの5カ年でIOWNの研究開発に計5000億円を投資する計画を打ち出している。新会社NTTイノベーティブデバイスの設立は事業化の柱となる取り組み。

 IOWN構想は、フォトニクス(光)ベースの技術を活用し、従来の電子ベースの通信ネットワークと比べ125倍の伝送容量に100倍の電力効率、遅延を200分の1するオールフォトニクス・ネットワーク技術(APN)の実現を目指している。

 塚野社長は「IOWNのインフラを担う光電融合デバイスの開発を加速し、大容量・長距離伝送の技術を通信領域からコンピューティング領域にも広げていきたい」と意欲を見せた。

 (8日付の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)