2023.09.21 東芝TOBが成立、株主から78%超の応募 年内にも上場廃止へ

東芝の川崎本社=川崎市幸区

 東芝は21日、国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)などの国内企業連合が東芝株式を対象に実施していたTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。議決権ベースで株主から78.65%の応募が集まり、成立の条件としていた66.7%を上回った。11月下旬をめどに東芝の臨時株主総会を開き、残る全株を取得する手続きを進める。年内にも非上場化し、1949年以来70年以上続いてきた上場の歴史に幕を閉じる。

 TOBは1株4620円で8月8日から9月20日まで実施した。買収の規模は総額約2兆円となる。

 東芝は、2015年に発覚した不正会計問題以降続いた経営の混乱に終止符を打つため、「物言う株主」に左右されない安定した経営基盤の構築を目指す道を選択。22年、株式の非公開化を含めた戦略的選択肢の提案を募集すると発表し、今年3月にJIP陣営による買収提案を受け入れた。

 今後は、島田太郎社長兼CEO(最高経営責任者)が掲げる経営改革を加速させる方針だ。島田氏はTOBの成立を受けて、株主を含むステークホルダー(利害関係者)へのメッセージを公表。この中で「今後、株式の非公開化に向けた一連の手続きを実施していく。新しい株主の下、新たな未来に向かって大きな一歩を踏み出すことになる」と強調。さらにグループ経営理念の下で「企業価値向上に向けて尽力していく」と意欲を示した。

 島田氏は22年6月にグループ経営方針を発表し、デジタル化を通じて温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」と「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の実現に貢献する企業を目指すと表明。30年度までにデータサービス事業を収益の柱に育てる方針も打ち出しており、中長期的な視野で「新生東芝」を再成長に導く経営手腕が試されそうだ。