2023.11.09 【5G関連部品特集】製品別動向
薄膜チップ抵抗器
超小型チップ部品の搭載化率上昇
回路部品
5Gスマートフォンは、高密度実装化に伴い、内蔵される回路部品は超小型チップ部品の搭載化率が一段と上昇している。
最近のスマホは、ディスプレーの大画面化で端末サイズが大型化しているが、高機能化と内蔵バッテリーの大型化も進んでいるため、プリント配線板はより微細化されており、チップ部品には一層の小型・低背化が要求されている。
プリント配線板は、現在、エニーレイヤー工法のビルドアップ多層板などが使用されているが、ローコスト機種から高機能機種まで基板の層数と微細化の仕様は異なる。その中で、高機能機種では、10層以上、L/S=50マイクロメートル/50マイクロメートル程度まで微細化している。
積層セラミックコンデンサー(MLCC)は、高級機では端末1台に1000個以上が搭載され、チップ抵抗器も400個内外が実装される。これらは静電容量や抵抗値、定格電力、定格電圧などにより、各種サイズが混在している。
高密度実装化を図るため、小型で大容量のMLCC、小型で高耐圧のチップ抵抗器の使用が増加し、0603/0402サイズなどの超小型チップの搭載比率が上昇している。
電源回路の省スペース化に向け、パワーインダクターの小型化も進展。フェライト系から大電流対応で有利なメタル系の新製品開発が、巻線、薄膜、積層の加工工法で活発化している。
水晶デバイスは、5Gスマホ向けにパッケージの小型・薄型化が進展。温度センサー内蔵水晶振動子は、1612サイズで厚み0.45ミリメートルなどの超薄型品が開発された。さらに1210サイズへと小型・薄型化技術が進む。
小型薄型、高速伝送などに対応
接続部品
接続部品は、5Gスマホ向けに、小型薄型化や高速伝送、急速充電などに対応するコネクターや、使い勝手などを追求した小型スイッチ製品など開発が活発となっている。
スマホ内部接続コネクターは、低背・狭ピッチ・省スペースの基板対基板用やFPC接続用コネクターの開発競争に拍車がかかり、嵌合(かんごう)高さ0.5ミリメートルの0.35/0.3ミリピッチ基板対基板コネクター、シールド付きFPCコネクターなどのラインアップ拡充が進む。FPC接続用コネクターは、0.25/0.2ミリピッチ品、千鳥形状の0.175ミリピッチ品などが開発されている。
5Gスマホ向けに、優れた高周波特性かつ小型化を実現したマルチRF対応基板対基板コネクターなどの開発も進んでいる。5Gのミリ波帯を視野に、32ギガbps対応小型高性能同軸ケーブルコネクターなどの開発も活発化している。
電源用は、スマホバッテリーの大型化やパワーマネジメントの高度化に対応し、電流容量15A対応電源用基板対基板コネクターなどが開発されている。
インターフェース系は、USBタイプC準拠コネクターの投入が活発。プラグの表裏を気にせず挿抜できるリバーシブル嵌合が可能で最大10ギガbpsの高速伝送に対応。USB給電規格USBパワーデリバリー(USB PD)をサポートする。
防水ニーズの高まりに対応し、高度な防水技術を施した防水ジャックなど開発も活発化している。
変換部品は、スマホ同梱(どうこん)ワイヤレスイヤホンの開発や、MEMSマイクロホンの超小型・高音質化が追求されている。