2024.01.01 【AV総合特集】’24展望 ホームシアター
プロジェクターは、さまざまなコンテンツを投影できる映像デバイスに進化している
多様化するプロジェクター
小型化や無線など環境構築が容易に
ホームシアターは、オーディオ機器とも密接な関わりがあるシステムだ。短焦点プロジェクターやモバイルプロジェクターなど小型で大画面を投影できる製品とともに、連携するサウンドバーも存在感を発揮する。高級オーディオとの組み合わせでなくとも、迫力ある映像と音を楽しむ環境は一般家庭でも構築しやすくなっている。
映画などの映像コンテンツを迫力ある大画面で楽しむためのデバイスは、テレビだけではなくなっている。以前は敷居が高かったホームシアター環境の構築も、シーリングライトと一体化したプロジェクター「ポップイン アラジン」の登場によって、導入しやすくなった。
その事業を引き継いだAladdin X(アラジン エックス、東京都港区)が昨年売り出した超短焦点プロジェクター「アラジン マルカ」は、壁から24センチメートルの距離で100インチの大画面を投影できる。
価格も15万円を切る設定で、インテリアになじむデザインと合わせて、映像デバイスとしてテレビ以外を求める消費者には選択肢の一つになる。サウンドバーと組み合わせれば、より迫力ある映像体験を楽しむことができる。
小型化が進んだプロジェクターは、狭い日本の住宅でも使いやすさが増している。ネットワーク接続により、ネットフリックスといった動画配信サービスを視聴できるものもある。ミラーリングによりスマートフォンの画面を映し出すことも可能であるため、撮影した写真や動画を共有し、家族で楽しむことも可能。テレビでは味わえない100インチを超える大画面は、家庭に新たな体験価値を提供するはずだ。
最近では、テレビを不要と考える消費者が増えつつあるほか、インテリア性を重視する傾向も強まっている。テレビの代わりにプロジェクターを設置すれば、リビングの雰囲気は一変する。映像デバイスはテレビが現在も主役だが、多様な個性が尊重される社会環境の中、リビングの在り方も変化し始めている。
モバイルプロジェクターの存在も大きい。バッテリーを搭載してアウトドアなど外出先でも使えるのがウリではあるが、小型・高画質化が進んでおり、リビングとは別にシアタールームを手軽に整えるのにはうってつけだ。比較的購入しやすい価格帯から提供されており、あらゆるアプリが入ったスマホとの連携で、ホームシアター以外の新しい使い方にも応用できそうだ。
■裾野を広げるホームシアター
日本の住宅で本格的なホームシアター環境を整備しようとするのは、多くの人にとってかなりハードルが高い。一方、憧れを持つ人は少なくないだろう。潜在需要は小さくないはずで、プロジェクターが購入しやすくなっていることと、日常的に手軽に使えることが訴求できれば、市場はもっと広がるはずだ。
さまざまな機器がワイヤレスでつながる時代となり、その利点を生かした「配線いらず」の携帯性も重視されるようになってきた。以前のような大型サイズではなく、プロジェクターも小型化が進んでいる。無線接続で同じ場所に据え置く必要もなくなっている。住環境の変化に合わせ、モバイルタイプでなくても移動はしやすくなっている。
コロナ禍が明けたことで体験型のリアルイベントが増えている。プロジェクターもその流れに乗り、体験できる場をつくっていくことが、市場の拡大につながるはずだ。