2024.03.22 【育成のとびら】〈22〉昇進意欲なかった女性管理職の7割が「なって良かった」

 本コラムでは、第18回から、中原淳氏(東京大学准教授=当時、現・立教大学教授)と当社ALL DIFFERENTが共同で行った、働く男女7492人を対象とした大規模調査の結果を基に女性管理職が育つ組織や職場のポイントについて考えてきた。

 4回にわたり、ストレッチ(背伸び)業務へのアサイン(任命)や役職任命の勘所など、女性管理職を育てるヒントを紹介してきたが、女性のための特別な対応策を示すというよりも、次期管理職を育成するセオリーの基本を改めて見直すことにもなった。

 言うまでもなく、女性管理職の活躍の機会を広げるためには、育成面だけでなく、残業時間の見直しやフレキシブル(柔軟)な勤務体制、業務の可視化、管理職からのサポート体制の構築など、組織全体による多角的なアプローチが必要になるだろう。

昇進後の実感

 次世代管理職育成や働きやすい職場づくり、業務効率化などの取り組みは、すぐに結果が出るものではなく粘り強い努力が必要だ。今回は、実際に管理職になった男女は昇進をどう受け止めているのかを調査した結果から、地道な取り組みの先に何があるかみていきたい。

 この調査で「総じて考えれば、管理職になってよかったと思うか」との質問に対し、男性は77.6%が、女性は76.4%が「あてはまる」「ややあてはまる」と答えている(図)。

 「仕事を始めて1~3年目の間、昇進したいと思っていなかった」層のみを抽出してみると、男性は「管理職になってよかった」と答えた割合が66.7%だったのに対し、女性は72.6%と高かった。

 この結果から、もともと昇進を望んでいなかった女性でも、管理職に就任後は価値を見いだし、自身の真価を発揮してマネジメントに取り組んでいる人が多いことが分かる。女性管理職を増やしたい経営層も、女性の部下を育成する管理職も、これからキャリアを歩む女性自身も勇気づけられる数字ではないだろうか。

日本のこれから

 2023年のノーベル経済学賞に、男女の賃金格差の要因について研究する米ハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授が選ばれた。同大経済学部で終身在職権を勝ち取った初めての女性でもあり、研究とキャリアの両面において大きな足跡を残している。

 ゴールディン教授は、日本について「男性の育休は、最も寛容な優れた政策の一つ」と語っており、女性の労働参加率がこの10~15年で改善したことに対して「本当に驚くべきことを成し遂げた」と称賛している。一方で「女性を労働市場に参加させるだけでは十分ではない」とも指摘している。

 現在、日本の女性管理職の割合は国際的にみて低い水準にあり、改善の余地は大きい。変化を恐れず障壁を特定し、改善に取り組むことで、私たちはもっと前進できるはずだ。これからも強い希望をもって取り組んでいってほしいと願う。

 次回からは、最もポピュラーな社会人育成の手法とも言えるOJT(オンザジョブトレーニング=実地研修、職場内訓練)について取り上げ、育成効果を高めるカギについて考えていく。(つづく)

 〈執筆構成=ALL DIFFERENT〉

 【次回は4月第2週に掲載予定】