2024.03.26 【電子部品メーカー/商社 大中華圏拠点特集】拡大続く中国EV市場

24年、NEV販売1150万台へ

短い開発期間に対応 日系各社、スピード重視

 中国の電気自動車(EV)市場の拡大が続いている。中国自動車工業協会(CAAM)によると、2023年の中国でのBEV(バッテリーEV)を含む新エネルギー車(NEV)販売台数は前年比37.9%増の949万5000台となった。22年の成長率(21年比93.4%増)と比べると伸び率自体は鈍化しているものの、高い成長が続いている。

 中国は15年に世界最大のEV市場となり、その後も順調な拡大が続いている。20年以降のコロナ禍の状況でも高い成長を継続し、ゼロコロナ政策が12月まで続いた22年も、政府による補助金効果もあり、前年比で2倍近い大幅な伸びを達成した。中国経済の減速が鮮明となった23年も高成長を維持した。

 また、中国の23年のトータルの自動車販売台数も前年比12%増の3009万4000台となり、初の3000万台超えを達成した。内訳は、国内販売は6%増だが、輸出が同57.9%増と大幅増となっている。

 24年のCAAMによる自動車販売台数見通しは、前年比3100万台と過去最高を予想。NEVの24年の販売台数は1150万台と、引き続き高い成長を予想している。一方で、直近の中国市場では、景気減速に伴いやや自動車販売に陰りがみられており、一部で在庫過多なども指摘されているが、政府による景気刺激策への期待が高まっている。

 中国は国策として、化石燃料から電力ベースのエネルギーシフトを強力に進めており、今後もEVの需要は中長期で増加していくことが確実視されている。

 メーカー別では、最大手のBYDをはじめ、多くの企業がEVを展開しており、一部の企業は日本市場への参入も図っている。このほか、Nio(ニーオ)などの有力な新興EVメーカーが続々と台頭しており、電気バスの専門メーカーなども多い。最近では、通信機器大手のファーウェイもEV市場に向けた戦略を強めているとされる。

 これらの動きを踏まえ、日系電子部品メーカー各社は、中国の新エネルギー車市場の成長に照準を合わせた取り組みを強化。中国ローカルの有力EVメーカーやバッテリーメーカーなどへのアプローチ強化を図ることで、中国での車載ビジネスの拡大を目指している。

 通常、日米欧などの自動車市場では、電子部品の採用まで長い時間を要し、新モデル車への採用が決まってから実際の量産供給が始まるまで、最低3~4年は必要とされる。これに対し、中国系EVメーカーは新車の開発期間が極めて短く、搭載する電子部品の選定も1~2年ほどで決着するケースが少なくない。

 これらを踏まえ、日系電子部品各社は、中国系の車両メーカーや有力Teir1に対し、よりスピードを重視した取り組みに力を注いでいる。各社は現地での情報収集活動を強化し、顧客に近い場所で技術サポートを行える体制を充実させることで、EV関連ビジネスの発掘を推進する。