2020.05.27 【電子回路基板特集】KOA、LTCC多層基板KLCシリーズ ミリ波用途の小型化貢献

 KOAは、小型・高密度化・高周波化が進む5G通信時代の高機能モジュール、産業機器、医療用機器などの高信頼性パッケージ用途に、低温焼成セラミック(LTCC)多層基板・パッケージの「KLCシリーズ」をラインアップしている。

 同シリーズは、電力損失を最小に抑えるために配線材料として電気抵抗の低い銀を用いて、この配線材料を高周波特性、信頼性に優れるセラミック材料と一体焼成した多層基板である。

 高周波特性に優れた構成材料を多層化することによって、5G通信などのミリ波用途の機器の小型化に貢献する。

 同社独自の微細配線技術と高精度積層技術は、配線密度の高い多端子ベアチップ用インターポーザやマルチチップモジュール用基板を可能にする。

 また、寸法精度と平坦性の高いキャビティは大型半導体チップのパッケージも可能で、同社のセラミックス材料の熱膨張係数はシリコンの値に近いことから、シリコン製MEMSのパッケージ基板としても信頼性、特性向上に有効である。

 複雑な形状の基板やキャビティの形成にも積極的に対応しており、特殊な形状のセンサー素子のパッケージや、狭いスペースに配置されるモジュール基板など様々な用途で利用できる。

 また、研究開発現場における試作品や評価基板、小規模企画など、少量生産に対しても積極的に対応している。

 同社のカスタムハイブリッドIC「KAシリーズ」は、多品種機器の共通回路をモジュール化することによって、設計、生産の容易化に貢献している。

 同ICは用途に応じて基板材料の選択が可能で、アルミナ基板では厚膜印刷によって回路を形成し、印刷抵抗はファンクショントリミング、レシオトリミングにも対応しており、モジュールの特性向上に寄与する。

 同社は、機器の小型化に伴って重要性が増している基板熱設計について、シミュレーション手法の開発、モジュールへの適用を行うなど、設計から部品実装によるモジュール化までのトータルソリューションを提案している。