2024.08.26 【エレクトロニクスに貢献する化学材料特集】各社の事業戦略/主力製品 積水化成品工業
テクポリマーNHシリーズ
「テクポリマー」の用途拡大に注力
積水化成品工業は、強みとする発泡技術や重合技術を生かし、幅広い産業分野の進化を支えている。独自のポリマー微粒子「テクポリマー」の用途拡大を推進しており、半導体や銅張積層板向けなどへの提案活動に力を入れる。
テクポリマーは、メタクリル酸メチル、スチレンをはじめ、各種疎水性ビニルモノマーをベースとしたポリマー微粒子。アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂など透明な樹脂に添加するほか、PET樹脂などのフィルム表面にコーティングするなどで使用する。光拡散性に優れ、液晶ディスプレーを構成する拡散フィルムやLED照明の光拡散材に採用されている。
液晶ディスプレー向けは2023年4月以降、市場が復調し売り上げも堅調に推移。ディスプレーの大型化も追い風となり、面積ベースでの出荷量も増加している。
こうした以前からの用途に加え、新たな分野への提案活動にも力を入れる。絶縁性や軽量性などの特徴を生かし、高速伝送回路の伝送損失抑制が見込める低誘電素材として提案。半導体部材である封止材、銅張積層板などをターゲットに、顧客へのサンプルワークなどを行っている。
これらの分野に最適な低誘電用途向けでは①中実タイプ②粒子内部に中空構造を持つ中空タイプの粒子構造が異なる2タイプを用意した。中実タイプでは、低誘電特性を向上させた製品をこのほど開発。誘電正接を従来の0.0008から0.0006に改善し、高周波領域での伝送損失抑制を実現する。
半導体パッケ-ジ材料では主にエポキシ樹脂が使われ、添加剤としてシリカなどの無機物微粒子が多く採用されている。テクポリマーはシリカに比べ、比重が軽いため添加量を抑えることができる。有機材料であるため、柔軟性に優れ加工もしやすい。また、中空・中実タイプともに耐熱性向上などのカスタマイズも可能。さらにポリイミドをシェルにした低誘電特性・耐熱性に優れた球状の「テクポリマー ポリイミド中空微粒子」も昨年開発。ポリイミド樹脂は銅張積層板で使用される。樹脂にポリイミド中空微粒子を配合することで、熱膨張係数も同じレベルとなり、クラックなども防ぐことができる。現在、製品化に向けて準備を進めており、25年中の発売を目指す。
同社では需要の拡大が見込まれる半導体市場を重点市場とし、半導体パッケージやプリント基板向けの提案に力を入れる。また、透明性を重視する用途ではナノサイズの中空微粒子を提案し、さまざまな顧客ニーズに対応していく。
昨年以降、営業・開発体制も強化している。人員体制を増強したほか、海外市場での提案にも取り組む。台湾・韓国での提案に力を入れ、新分野での採用を目指す。