ルネサスエレクトロニクスが産業機器向けMPU（マイクロプロセッサーユニット）で、同社史上最高性能の新製品「RZ／T2H」を発表した。主に多軸サーボや産業ロボットでの利用を想定し、アプリケーション処理性能とリアルタイム制御の精度に優れる。1チップでモーターを最大9軸まで制御できる業界初のMPUで、コスト削減に貢献する。

　システム全体を統括するアプリケーションCPUに「Arm Cortex-A55」を4個、モーター制御を行うリアルタイムCPUに「Arm Cortex-R52」を2個搭載したほか、高性能CPUも実装した。エンベッデッドプロセッシング第一事業部プロダクトマーケティング第二部の川嵜圭吾部長は「単なる軸制御だけでなくコントローラーの機能を内蔵したハイエンドの製品」と説明する。

　MPUで初めて、1チップで9軸のモーター制御を実現。通常メインCPUとは別に、回路構成を自由にプログラムできるFPGAを搭載してモーター制御機能を付与することが多いが、それらをチップ1個にまとめることで、部品点数を削減できる。FPGAのプログラム開発も省略できる。

　柔軟なイーサネット通信への対応も特長だ。デバイス、コントローラーの両方をサポートし、さまざまな規格に対応する。

　今回の新製品とほぼ同等の機能で小型パッケージ化した「RZ／N2H」も来年初頭に発売予定。制御装置など産業用途を想定している。