2025.01.01 【家電総合特集】デジタルAV’25展望 デジタルカメラ
スマホのステップアップでミラーレス一眼を購入する人は着実に増えており、体感イベントなども盛況(写真は富士フイルムのイベント)
スマホからステップアップ増
ミラーレス一眼など伸長
国内デジタルカメラ市場は2025年も成長していく見通しだ。コロナ禍が明け外出機会が増えるとともに、カメラで写真や動画を撮影する機会も増え23年以降は成長軌道に乗ってきている。スマートフォンの普及とカメラ機能の進化により、これまでコンパクトデジタルカメラの大半がスマホに取って代われたが、よりよい写真を残したいという需要は底堅く、外出機会の拡大と相まってカメラの販売は順調だ。
国内市場は、2010年をピークに減少が続いていたが、23年に13年ぶりにプラスに転じてからは回復してきている。23年になって旅行や観光などの外出が再開したことで、カメラの販売が回復したとみられる。
量販店の販売実績データを調査するGfK/NIQ Japanによると、国内デジカメ販売台数は順調に拡大し、24年上期(1~6月)もコンパクトカメラ、レンズ交換式ともに前年比を上回っている。販売単価も上がり、レンズ交換式は10万円以上の中級機以上が堅調だ。
スマホの普及に伴い、スマホメーカー各社はカメラ機能の強化を進めてきている。現在も多くのメーカーが高性能カメラを前面に出しており、カメラ代わりにスマホを使う人も増えているのは事実だ。半面で、よりきれいな写真を撮影したいという需要もあり、ステップアップする人が増えてきている。
あるカメラメーカー関係者は「スマホのカメラでいいという層も多いのは事実だが、スマホから、ミラーレス一眼カメラなどにステップアップする人は着実に増えている」と話す。スマホでの撮影は記録用として使うケースも多く、よりきれいな写真や作品としての写真を残したいというニーズには専用カメラが適している。
特に販売が伸びているミラーレス一眼カメラはスマホと違いオートフォーカスや被写体認識などが優れることから撮影の幅も広がる。人工知能(AI)を使った撮影支援機能などで、より多彩な撮影を提案する動きも出てきている。これまで一眼カメラは年配の愛好家が使うケースが多かったが、最近は年齢層も広く女性も多い。
カメラ映像機器工業会の出荷統計でも、レンズ交換式を中心に前年を上回る月が増えてきている。
最近は動画撮影機能を強化する動きも出てきている。動画撮影にスマホを使う人も多かったが、動画撮影機能を強化したデジカメが各社から発売されてきた。
スマホの縦長の画面に合った撮影ができる機能を搭載したり、Wi-Fi接続できたりするモデルも多く、スマホのステップアップを狙った製品が充実。今後も動画撮影を重視した製品が増えてくるとみられる。
外出機会が増え観光する人が多くなれば、それだけ写真撮影の機会が増えてくる。写真撮影の需要は絶対になくならないため、観光が増えれば増えるほどデジカメの利用機会が増えるとみる声もある。この傾向は今後も続くと予想され、カメラ各社も新製品の投入に力を入れていく構えだ。