2025.01.03 【家電流通総合特集】SCEA 「Sマーク」普及に取り組む

リチウムイオン蓄電池の事故が増加

関連メーカーへ取得訴求 純正品の購入を喚起

 電気製品認証協議会(SCEA)は製造者、流通、消費者の各団体や認証機関など48団体と学識経験者で構成され、電気製品の安全性向上と1995年に誕生した「Sマーク」の普及活動に取り組む。近年増加しているリチウムイオン蓄電池の事故を受けて、リチウムイオン蓄電池や関連製品へのSマークの取得を訴えている。

 Sマークは、製造事業者や輸入事業者が第三者認証を受けた電気製品に表示することができる安全マーク。工場調査や初回ロット検査を経て適合すれば認証登録となり、製品に表示できる。

 モバイルバッテリーやバッテリーパックなど、リチウムイオン蓄電池を使った家電製品は生活の中に身近にあるが、Sマークの取得数はほとんどないという。

 テレビやドラム式洗濯機などの高額製品の場合は、Sマークを取得することで消費者側の安心感につながりやすい。

 半面、低価格帯の小型家電については「認証費用をかけるメーカーが少ない」(SCEAの平井雄二事務局長)と話す。

 コードレススティック型掃除機や電動工具向けに、純正のバッテリーパックよりも安価な非純正品を使うことが火災事故の要因となっているという報告も多い。

 平井事務局長は「バッテリーパックを買い替える際には必ず純正品を選定してほしい」と注意喚起する。

 販売した製品が原因で発火や発煙事故が起こると、販売事業者にも影響を及ぼしかねない。

 流通事業者に向けても第三者認証の証しであるSマークの取得製品の取り扱いを促している。

 安全性を確認するため数々の検査を経たSマーク取得製品であれば、品質も高い。

 また、消費者側の電気製品の扱い方も重要だ。リチウムイオン蓄電池とその搭載品は、高い場所から落としたり、車のダッシュボードなど高温になりやすい場所で放置したりしないようにすることが大切になる。

 SCEAは、電気用品部品・材料認証協議会(CMJ)と合同で、製品安全につながるSマークとCMJ登録制度の説明を中心としたセミナーを、2月3日から14日までオンラインで配信する。10日から、公式ホームページで申し込み受け付けを始める。電気製品の安全性向上につなげたいという考えのもと、2020年からは毎年実施している。

 電気用品安全法で、リチウムイオン蓄電池の技術基準が、日本独自基準の別表第九から、国際電気標準会議(IEC)の国際基準をもとにした「J規格」別表第十二に一本化され、24年12月27日に猶予期限を迎えた。27日以降は別表第十二への対応のみとなる。

 各電池ブロックの電圧監視に技術基準の項目が加わることで、過充電による発火事故防止への貢献が期待できる。