2025.01.03 【家電流通総合特集】 家電製品協会 家電リサイクル法、若年層へ認知拡大
星野 部長
デジタルとリアルで情報発信
動画広告から誘導など
家電製品協会(AEHA)は、家電製品の安全性の向上や、廃家電製品対策などの家電製品に関する問題について、調査・研究や政策の立案、実施に取り組んでいる。
同協会は資源循環を目標に、2001年4月から本格施行されている家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)の若年層への認知拡大を推進する。デジタルツールとリアル展示を活用した情報発信に力を注いでいく。
24年12月から、X(旧ツイッター)とYouTubeで、正しい家電リサイクルを促すマンガ広告を配信している。
スマートフォンの検索履歴を活用し、家電の買い替えを検討している20代を抽出して、パラパラマンガの動画広告が表示されるようにした。広告を見たユーザーに気付きを与え、家電リサイクル法を紹介するランディングページ(LP)への誘導を目指す。
LPでは、テレビを買い替えたい主人公とともに、古いテレビをどのように処分するのが適切かをマンガ形式で紹介。同協会のWebサイトでも、家電処分の疑問に応える記事や、ガイドに沿って選択すると最適な処分方法を案内する内容を掲載している。
同協会が24年10月11日に実施した、家電リサイクル法認知度のインターネット調査(対象555人)では、「概要は知っている」「よく知っている」の割合は20~29歳が17.3%と最も低く、年代が上がるにつれて上昇する結果となった。
若い世代の認知度を上げることで、全世代での認知度向上を目指す。学校卒業や転勤などによって家電の買い替えが発生するタイミングで正しい家電リサイクルにつなげたい考えだ。
25年度からは、30代の子育て層に対しても家電リサイクル法について周知を図っていく。
環境部の星野隆宏部長は「安価なネット通販で購入したため、どう処分したらいいか分からないという人も増えてきている」とし、消費者自らが正しくリサイクルするための導線に気付かない環境を指摘する。
常設展示場での啓発にも力を入れる。科学技術館(東京都千代田区)の「家電リサイクルベース」および、おおさかATCグリーンエコプラザ(大阪市住之江区)の「家電リサイクルスタジオ」で、家電リサイクルの取り組みを常設展示している。
25年は、科学技術館の小型展示ブースを6倍に拡大する予定。サーキュラーエコノミーを中心とした構成とし、地球規模の話から家庭の中の資源まで、家電のリサイクル循環を体験できるブースになる。
おおさかATCグリーンエコプラザ内にある家電リサイクルスタジオは24年11月にリニューアルオープンした。
団体での来場が多く、豊富な映像コンテンツや家電のカットモデル、リサイクル後に生まれ変わる製品などの事例を、見て、触れながら学べる。