2025.01.03 【家電流通総合特集】国の補助金継続、各自治体でも新たに開始
補助金の活用が商品提案の鍵となる
リフォームやエコキュートなど
活用が商品成約の鍵に
リフォームやエコキュートなどの販売の後押しとなった国の補助金「住宅省エネ2024キャンペーン」の後継事業が開始することが決まった。既に省エネ家電や設備への補助金の支給が決定している自治体もある。地域電器店では、今年も補助金の活用が商品成約の鍵となりそうだ。
国の補助金は「子育てグリーン住宅支援事業」「先進的窓リノベ2025事業」「給湯省エネ2025事業」「賃貸集合給湯省エネ2025事業」の四つで構成。補助額や要件が変わっている事業もあり、注意が必要だ。
子育てエコホーム支援事業の後継事業子育てグリーン住宅支援事業は、補助対象となる必須工事がこれまでの1種類から最低2種類に変更になった。
給湯省エネ事業は、エコキュートの場合、補助額の基本額が8万円から6万円になる。
条件が厳しくなるものの、補助金を切り口に提案をしていく地域店は多い。
カガワ電業(香川県丸亀市、金関二郎社長)は「当社がエコキュートを施工していないお客さまに補助金をアピールしていく」と意気込む。同店は昨年、11月までにエコキュートを約120台販売。今年は、ハウスメーカーなどが設置を担当したお客を中心に声掛けをしていく。
パナソニック系の川正電器冷暖(愛媛県四国中央市、川上浩央社長)も補助金を活用したエコキュートの販売に注力する。故障後の買い替えは時間がかかることを伝え、購入につなげていく。川上社長は「お客さまは補助金があることを知らないため、しっかり声掛けをしていく」と話す。
パナソニック系の電パークうすい(岐阜県大垣市、臼井弘一代表)も、国の補助金の後押しで、エコキュートやトイレ、システムバスなどの住設・リフォーム商品の需要増に期待している。
自治体の補助金に対する期待の声も大きい。
パナソニック系のシンコウ電化(横浜市鶴見区、髙塚英輝社長)は、2024年は「横浜市エコ家電応援キャンペーン(エコハマ)第2弾」を活用してエアコンの販売につなげた。
エコハマ開始時期が6月で、エアコンの問い合わせの増える時期と重なったことから積極的に活用した。
エアコンの問い合わせ時に上位機種を提案しやすく、省エネに関心が高いお客を中心に購入が多かった。例年の約3倍の台数を販売した。
エコハマ第3弾の発表があり次第、準備を始める。
パナソニック系のライフパートナーいとう湊町店(千葉県船橋市、伊藤政孝代表)は、今年から補助金活用を本格化していく。
船橋市では「船橋市住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金」として、太陽光発電システムやエネファームなどの省エネ設備導入の際に補助金が支給される。
同店は23年8月に伊藤代表が店長を務めていたゴトウ電器(23年閉店)から独立オープン。営業開始から1年ほど経過し、まだ十分な補助金活用ができていない状況だ。今年は補助金活用の本格化を目指した準備を進めていく。
伊藤代表の妻優貴子さんは「補助金はお店にとって商品を提案しやすくするだけでなく、お客さまの家電購入も後押ししてくれる」と話し、省エネ家電への助成も期待している。
あい電ハセガワ店(山形県鶴岡市、後藤弘幸専務)では、国や市の補助金を活用したリフォームに積極的に取り組んでいる。
同店では、トイレや浴室改修などのリフォーム案件にも取り組んでいる。トイレリフォームは、鶴岡市の補助金を活用、トイレのほか床や壁の張り替えを行った。
後藤専務は「今後も各種補助金の活用を図りながら、リフォームを提案していきたい」と話す。
補助金がリピートにつながるケースもある。
ワタナベ電器(京都府八幡市、渡邉憲一社長)は京都府の「京都省エネ家電購入キャンペーン」を活用。対象のエアコンや冷蔵庫を購入すると府内で使えるポイントが最大2万円分もらえる。
渡邉社長は「夏に三菱電機の省エネタイプのエアコンZXVを購入したお客さまが、ポイントで別の部屋のエアコンを購入してくれたこともある」と話す。
関東地方で強盗事件が多発していることを受け、防犯関連商品に補助が出る自治体もある。
もりや電機(東京都三鷹市、芝崎美保子社長)は、同市が新設する「住宅等防犯対策補助金」を活用し、カメラやセンサー付きライトなど防犯用品の販売に力を入れる。
三鷹市内では24年10月に強盗未遂事件が発生。顧客から防犯用品の問い合わせが増えたという。芝崎社長は「防犯用品をすぐに設置してほしいとの依頼が多い」と話す。取り付け日や作業の融通が利く地域店ならではの強みも生かし、需要と不安に対応するとしている。