2025.01.09 「エイジテックに手応え」 旭化成エレの篠宮社長、成長の足掛かりに

インタビューに応じた篠宮社長

旭化成エレのおむつセンサー旭化成エレのおむつセンサー

 【ラスベガス(米ネバダ州)=CES取材班】旭化成グループで半導体を手掛ける旭化成エレクトロニクスが、高齢者の生活をITの力で支援する「エイジテック」への取り組みに本腰を入れ始めた。テクノロジー見本市「CES 2025」では、既存の技術や製品を応用し、転倒検知センサーやおむつセンサーなどエイジテックの提案に乗り出している。今後の展開について篠宮秀行社長に話を聞いた。

 ―今回、CESに出展した狙いは。

 篠宮社長 CESにはこれまでも出展してきた。昨年は自動車をメインにした展示としたが、エイジテックというキーワードが大きくなっていた。昨年の出展で手ごたえを感じたため、今年はエイジテックを全面に押し出した。

 ―エイジテックの軸になる技術や製品は。

 篠宮社長 1つは、室内での転倒など人の状態を検知するセンサー技術だ。もともとセンサーは持っているため、ソフトウェアと組み合わせて室内の状態を見えるようにした。

 もう1つはバッテリーフリーの技術だ。例えばおむつで排尿があった際、尿から電力を作り、それを無線通信で通知する。

 転倒検知にしても排尿検知にしても、高齢化が進む日本だけでなくどこの国でも向き合わなければならない課題。今回の出展で米国での確かな手ごたえを得ている。

 ―エイジテック事業として柱に育てていく方針でしょうか。

 篠宮社長 次の中期経営計画でどうしていくかを検討している。当面は既存事業が中心になるが、エイジテックは社会的なニーズも高い。当社製品の価値を認めてもらえれば、市場を創ることも可能ではないかと思っている。期待値は大きい。

 ―今回のCESで、エイジテック関連の展示傾向をどう捉えましたか。

 篠宮社長 関心が高い分野とそれほどでもない分野に分かれているように感じた。特に、離れて暮らす高齢な親を見守りたいといったサービスと連携するようなエイジテックにますます関心が集まっているように思う。

 そうしたサービスを支える部品をCESでは展示している。エイジテックを事業として育てる足掛かりにしたい。