2025.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開 信越化学工業

信越デュアルダマシン法で作成した2層サンプル(俯瞰〈ふかん〉写真)

信越デュアルダマシン法を開発

チップレット工程、大幅簡略化

 信越化学工業は、後工程半導体パッケージ基板製造装置と新工法を開発した。同装置は半導体の前工程で用いられるデュアルダマシン工法を後工程用パッケージ基板に応用し(信越デュアルダマシン法)、インターポーザーの機能を直接パッケージ基板に盛り込むことが可能な高性能なエキシマレーザー装置。チップレット化でのコスト低減に貢献する。

 同装置では、インターポーザーが不要となるほか、従来工法では実現できなかった微細加工が可能。パッケージ基板製造でのフォトレジストプロセスが不要となるため、コスト低減と設備投資抑制につながる。

 最近の半導体市場では、回路を個片化して一つのパッケージに収める「チップレット」が注目されている。同技術では複数のチップレットを中間基板(インターポーザー)に搭載し、チップレット同士を接続する工程が必要とされるが、信越デュアルダマシン法はインターポーザーが不要で、工程を大幅に簡略化できる。インターポーザーと同様の機能を有した配線パターンを直接パッケージ基板に加工・形成し、チップレット間の接続をパッケージ基板上で行う。

 同装置の高度な微細加工技術により、直接、多層パッケージ基板の各層に複雑な電気回路パターンを有機絶縁層の中に掘り込み、銅めっきで回路を形成可能。エキシマレーザーを光源に利用し、大面積の電気回路パターンを一括成形できる。

 信越デュアルダマシン法を用いると、現在主流のドライフィルムレジスト使用のSAP法では達成できなかった微細加工が可能となる。自社製の大型フォトマスクブランクスを用いたフォトマスクと独自の特殊レンズの組み合わせで、100ミリメートル角以上の面積を連続で加工できる。

 加工時間は1パッケージ基板の大きさによって変わるが、配線パターンと電極パッドの加工時間と、ビアの加工時間は同じ。ビア加工時間はビア数によらない。

 また、同社は半導体露光材料事業拡大に向け、同事業で4番目の拠点となる工場を群馬県伊勢崎市に建設することを決めた。約15万平方メートルの事業用地を取得し、半導体露光材料の製造および開発拠点を建設する。第1期の投資は2026年までの完工を目指す。