2025.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開 東京応化工業
種市 社長
熊本・福島県に新工場・新棟
半導体材料など需要増対応
東京応化工業は、2025年度(12月期)から新中期計画「tok中期計画2027」(3カ年)をスタートする。最終年度の27年には売上高2700億円、営業利益480億円を目指す。
種市順昭社長は、最近の動向について「24年度は7月末に通期予想を上方修正したが、ここまで修正計画を達成できるであろうペースで推移している。24年は追い風が吹き良い一年だった」と話す。
24年度は、生成AI(人工知能)関連でのEUVレジストやNANDフラッシュメモリー向けKrFレジスト、後工程関連材料の需要増加が業績に貢献したほか、中国向けが好調でKrFやArF、i線などのレジスト販売も伸長した。
同時に、24年はこれまで進めてきた大型投資が節目を迎えた。高純度化学薬品の新工場「阿蘇くまもとサイト」(熊本県菊池市)が完成し、24年7月には郡山工場(福島県郡山市)新棟建設も着工した。
新棟は世界最大規模・最高品質の半導体用フォトレジスト工場として26年度下期の稼働を予定し、「規模、品質、生産効率にこだわっていく」(種市社長)。韓国では半導体用フォトレジスト新検査棟が25年に完成予定。このほか24年はTSMCエクセレントパフォーマンスアワードなど各種表彰も獲得した。
25年の展望について、種市社長は「生成AI関連需要は25年も継続が見込まれ、半導体微細化対応の最先端材料やHBM向けパッケージ材料などの需要増を期待している。スマートフォンやパソコン、車載などの市況はまだ低調とみているが、全体としては25年も追い風が続く」と話す。
25年は、阿蘇くまもとサイトの早期立ち上げに取り組み、郡山工場の生産能力増強も予定通り進める。韓国で取得した用地の活用タイミングについても市場動向をみながら判断する。技術開発では「さらなる微細化や3次元実装化に向けた研究開発に実直に取り組む」(種市社長)。
同社は長期ビジョン「TOK Vision 2030」において2030年度売上高3500億円を掲げる。
25年度からの新中期計画について種市社長は、「長期ビジョン実現のために次の3年間で何をすべきかを考え、投資、研究開発、人材育成、生産性向上のためのデジタル活用などについて議論し、実行計画に落としこんだ」と説明する。