2025.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開 日本ゼオン

豊嶋 社長

ポートフォリオ組み替えでCOP・光学フィルム

供給能力を引き上げ

 日本ゼオンは、2030年のビジョンに「社会の期待と社員の意欲に応える会社」を掲げる。

 23年度からの中期経営計画「STAGE30」第2フェーズでは、全社戦略に①カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを実現する「ものづくり」への転換②「既存事業の磨き上げ」と「新規事業の探索」によって社会課題解決に貢献③個々の強みを発揮できる「舞台」を全員で創る④経営基盤を「磨き上げる」を設定している。

 豊嶋哲也社長は「24年は能登半島地震で当社工場も被災したが、従業員の努力によりマイナス影響を最小限にとどめることができ感謝している」とし、25年の展望について、「日本は少数与党政権、米国もトランプ政権が誕生するため、変動因子が大きくなる可能性がある。そうした中でもグループ一丸となって成長していきたい」と語った。

 同社はポートフォリオ組み替えとして、高収益製品シフトを進めており、24年には周南エリアでのCOP新プラント立ち上げを決めた。これによりBCP対応を強化し、同時にエラストマー/C4事業の収益性改革を徳山工場から着手する。

 ポートフォリオ組み替えで、COP・光学フィルムの供給能力を引き上げ、COP・フィルムで30年度に売上高1000億円超、ROIC10%超を目指す。

 新規事業売上高は26年度160億円を目標とし、四つの重点分野(①CASE・MaaS②医療・ライフサイエンス③情報通信〈5G/6G〉④省エネルギー)にリソースを集中投入する。「このほか単層カーボンナノチューブや電子材料などの分野でも新規事業を創出していく」(豊嶋社長)。

 豊嶋社長は、25年の取り組みについて「当社が期待する製品の売り上げが徐々に立ち上がり始めている。25年はこれらをしっかり育て、26年、27年の成長が担保できるよう取り組む。徳山から始まった構造改革をほかにも広げていく」と話す。

 高機能材料事業では高機能樹脂、光学フィルム、電池材料などを展開。高機能樹脂はCOPを光学、電気・電子、医療用途などに展開する。