2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 キヤノンマーケティングジャパン 足立正親社長

高度デジタル人材育成

中堅・中小のIT環境支える

 2024年のICT領域は、順調に推移した。DXが大企業だけでなく中堅中小企業にも広がり、単にデジタル化するだけでなく、ビジネスモデル変革も進んだ。サイバー攻撃などによる被害も顕著になり、セキュリティー防御への投資も拡大した。25年はこうした傾向に拍車がかかる。

 当社は「2022-2025中期経営計画」の最終年度で売上高6500億円、注力分野のITS(ITソリューション)で売上高3000億円を計画している。いずれも1年前倒しで達成する見通しだ。トップラインとともに、M&Aも貢献している。

 同計画では、M&A投資、人材投資など成長投資に2000億円以上の投資を計画している。24年は、M&Aや資本業務提携など事業投資を積極的に実行し、次の成長に向けた態勢を整備できた。

 当社グループは持続的可能な社会の実現のために、24年1月にパーパスを制定した。グループ会社も増えており、われわれが向かう方向性、社会的存在価値を明確にするものだ。パーパスでは「想いと技術をつなぎ、想像を超える未来を切り拓く」を制定し、マーケティングの力で未来を創る「未来マーケティング企業」を宣言した。

 これを実現していくため、未来志向で社会課題の解決につながる新規事業を創出する専門組織R&B(Research &Business Development)を立ち上げ、スタートアップ企業とのオープンイノベーションを加速するためのCVCファンドを設立した。CVCファンドは、10年間で100億円の投資を計画している。

 25年は「2021-2025 長期経営構想」の最終年だが、売上高は計画以上、利益は計画通りの達成に向けて取り組んでいく。今の事業を伸ばしていくと同時に、当社事業を補完するM&Aにも積極的に取り組む。

 グループの成長の中核であるITソリューション事業では、サービス型事業モデルのさらなる付加価値を追求し、クラウドサービスと保守・運用メニューを充実させる。中堅・中小企業のIT環境をトータルで支えるサービスメニューなど拡充させる。このほか、デジタル化が進む商業印刷分野、医療ITなどのヘルスケア分野、半導体関連などの産業機器分野などに注力する。

 25年は、将来に向けた成長投資をさらに加速させる。事業投資では新たな事業創出に向け、社会課題解決の領域をさらに広げることで、当社グループの新たな価値創出を目指す。人材投資では人的資本の最大化に取り組み、DX人材、高度デジタル人材の育成に取り組む。今年は持続的成長に向け、次の5年間の絵をしっかり描ける年にしたい。