2025.01.16 次亜塩素酸など用いた除菌効果を検証 パナソニック空質空調社と群馬パース大が共同研究

パナソニック空質空調社の岡本剛常務(右端)ら

 パナソニック空質空調社と群馬パース大学は16日、同大学の教室と実習室で次亜塩素酸や集じんフィルターを用いた除菌効果の検証を実施し、空中浮遊微生物と付着微生物を効果的に除去もしくは不活化可能であると発表した。学生らがいる実使用空間での検証は国内の空気浄化・空調業界で初めて(同社調べ)。

 今後、院内感染などを起こす細菌やウイルスに関する同様の検証を行うとともに、除菌効果と罹患率の相関など感染抑制の効果検証を行っていく。

 浮遊菌の検証では、学生が授業を受け、換気・空調を運転している約70畳の教室を2つ用意し、一方に次亜塩素酸水溶液を装置内部で生成する機能と集じんフィルターを搭載した検証装置を設置。実際に大学が稼働している月曜から金曜の5日間24時間装置を運転させ、火曜日の昼食時、午後の講義後に浮遊菌を採取した。結果として、検証装置が設置されている教室では約85%の菌の減少が確認できた。

 さらに、教室内の浮遊する菌を同定し、カビやバチルス属菌、黄色ブドウ球菌などの種々菌や真菌が検出された。

 付着菌の検証では、換気・空調を運転している約56畳の広さの無人の実習室に、検証装置から8メートル離れたところに大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌を付着させたシャーレを配置した。検証装置なし(自然減衰)に対して、検証装置ありでは、院内感染を起こすとされる大腸菌は24時間で94.6%、緑膿菌は94.6%、黄色ブドウ球菌は99.9%に減少していた。

 研究結果に対して、群馬パース大学のインフェクションコントロールドクター木村博一教授は、引き続き実使用空間の除菌試験と罹患率の評価に取り組むとともに、「将来的には次亜塩素酸技術の活用が感染リスクの低減に効果的であると確認されることに期待したい」と述べた。