2025.01.21 【半導体/エレクトロニクス商社特集】半導体 各社の25年事業戦略 エイブリック 田中誠司社長

田中 社長

車載に加え医療機器向けを伸ばす

 エイブリックは、ミネベアミツミグループが掲げる中核事業「8本槍(やり)」の一つとしてアナログ半導体事業を展開する。

 田中誠司代表取締役社長執行役員は、2024年度を「前年比プラス成長で終える見込み」と述べた。25年度はけん引役となるキーアプリケーションの不在や中国の不透明感から「混沌としている」としつつも、市場予測以上のプラス成長を見込む。

 車載向けは、これまで投入した製品や新たにデザイン活動が立ち上がるプロジェクトが貢献。安全規格「ISO26262」認証を受けた開発プロセスのもと、バッテリーを過電流などから保護する回路の故障時に安全を維持するセカンド保護製品も投入した。

 スマートフォン向けは、機能追加による付加価値向上で収益を狙う。パソコン向けもセカンド保護製品などに成長をみる。

 産業機器向けは、在庫調整が終わりつつあるほか、医療機器用超音波診断装置向けを伸ばす。昨年12月にソシオネクストから譲受したメディカル関連事業を加え、同分野で従来の2倍の売上高を目指す。

 データセンター向けには、メモリーモジュールの仕様などの情報を記憶するSPDを海外向けに注力する。

 グループ内連携も強化。後工程は日本政府の補助金を受け拡張するミネベアミツミのセブ工場(フィリピン・ダナオ市)をエイブリック、ミネベアパワーデバイスが活用する。デジタル設計が得意なSSCの合流でデジタル・アナログ混在製品開発も強化している。

 人材獲得は戦略的なリクルート活動による認知度向上に加え、必要に応じてM&Aも含め技術者確保を実施。並行して従来の3人分の仕事を1人で行える「多能工化」やデジタル変革(DX)部隊による効率化も図る。

 田中社長は25年度を「社長就任から構築してきたプロダクトマーケティングや事業戦略を横串で強化する体制を軌道に乗せる年」とし、28年度にグループ半導体部門で売上高2000億円の目標達成に向けて活動する方針。