2025.02.15 STマイクロが車載でMCUに集中 2030年までに売り上げ2倍へ

STマイクロの車載MCUのデモ展示

「車載用と産業機器用の製品プラットフォームの融合も模索したい」と語る中條ディレクター「車載用と産業機器用の製品プラットフォームの融合も模索したい」と語る中條ディレクター

 スイスの半導体メーカーSTマイクロエレクトロニクス(STマイクロ)は、車載分野でMCU(マイクロコントローラーユニット)に注力し、2030年までに売り上げを倍増させる。車載用MCU「Stellar(ステラ)」シリーズの拡充と、汎用MCU「STM32」シリーズを車載向けに展開していく。

 SDV(ソフトウエア定義型自動車)やEV(電気自動車)の進歩により、配線の簡略化や小型・軽量化のために、車載アーキテクチャーを機能や物理エリアごとに統合することが求められている。STマイクロは、ローカルでの処理やリアルタイム制御を行うMCUに特化して対応する方針だ。

 日本法人のオートモーティブ製品グループの中條顕ディレクターは「ステラと車載用のSTM32を合わせて今後3年で70品種以上リリースする予定」と語る。

 ステラシリーズは「ステラP」と「ステラG」という二つのカテゴリーがある。「ステラP」は複数の動力源をモジュール化する「X-in-1」に、「ステラG」は物理エリアごと統合して処理するゾーンアーキテクチャーに利用する。
STM32のセキュリティや安全性を強化した車載向けシリーズ「STM32A」も今後展開する予定だ。

 車載分野ではMPU(マイクロプロセッサーユニット)によるHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)が注目を集めるが、MCUに注力する理由は二つ。一つ目は同社が持つプロセス技術から製造能力まで備える統合的な生産体制がMCUの製造に適していること。二つ目は同社がセンサーや電源ICにも強みを持ち、それらと組み合わせてシステムソリューションとして提案できることだ。

 メモリー技術を内製化しステラに搭載することでも、同社のマイコンは独自性を獲得している。現在、40ナノメートルプロセスの不揮発性メモリーを量産中で、28ナノメートルと18ナノメートルプロセスでは、新たに材料の物理的状態を変化させる相変化メモリーを導入する予定。