2025.02.17 2期ぶり過去最高、生成AI追い風 東京応化

部門別売り上げ予想(24年12月期決算説明資料より)

 東京応化工業の業績が中長期的に拡大を続けている。2024年12月期連結決算は、生成AI(人工知能)の普及による先端半導体需要の増加を背景に、大幅な増収増益を達成。売上高と全ての利益項目で過去最高を更新した。25年度も生成AI関連の需要拡大を追い風に、2桁の増収増益を計画している。

 同社は、20年度から22年度まで3期連続で売上高と営業利益で過去最高を更新したが、23年度は半導体生産の調整により減収減益を記録。24年度は反転し、2期ぶりに最高業績となった。

 種市順昭社長は「生成AI関連でEUV(極端紫外線)レジストやNAND型フラッシュメモリー向けKrFレジスト、後工程関連材料の需要が増加した」と説明。中国市場の需要も好調だった。

 事業別売上高は、エレクトロニクス機能材料が前年度比22.5%増、高純度化学薬品が同27.1%増と大幅な伸びを記録。特に半導体前工程用フォトレジストでは、先端材料(ArF、EUVなど)、KrF、レガシー材料(g線、i線レジストなど)がそろって2桁増加し、前年度比20%増となった。

 25年度も生成AI関連の需要拡大を見込むほか、顧客の新工場稼働も相次ぐことから、大幅な増収増益を予想する。設備投資は前期比33.3%増の3300億円、研究開発費は同15.7%増の1680億円を計画し、いずれも最高額となる見通しだ。

 25年度からは新たな3カ年計画「tok中期計画2027」をスタート。最終年度の27年度には売上高2700億円、営業利益480億円、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)610億円を目標とする。

 成長戦略として、同社は積極的な設備投資を推進。24年には熊本県菊池市に高純度化学薬品の新工場「阿蘇くまもとサイト」を完成させ、同年7月には福島県郡山市の郡山工場新棟の建設にも着手した。郡山工場の新棟は、世界最大規模・最高品質の半導体フォトレジスト工場として26年度下期の稼働を予定する。韓国でも半導体用フォトレジストの新検査棟を25年に完成させる計画だ。