2025.02.26 電子部品40社4~12月期、業績に明暗 車載・産機振るわず

電子部品40社の業績合計

電子部品40社の24年4~12月期業績電子部品40社の24年4~12月期業績

 電子部品メーカー40社の2025年3月期第3四半期(24年4~12月)連結決算は、企業によって明暗が分かれた。ICTやAI(人工知能)関連の需要増加と円安が追い風となり、売上高は24社が増収、うち6社は2桁増となった。

 一方、産業機械や車載向け部品を主力とする企業を中心に業績が振るわず、16社が減収、7社は2桁減を記録した。営業利益は増益または黒字転換が19社と全体の5割弱にとどまり、減益15社、赤字6社と厳しさが目立つ企業も多かった。

 経常利益は円安効果が大きく、増益または黒字転換が20社を占めた。特に13社が3割以上の増益を達成し、9社は5割超の増益を記録。一方で、減益や赤字計上は20社に達した。当期純利益は増益または黒字転換が22社となり、うち8社が2倍以上の増益となった。

 分野別では、HDD(ハードディスクドライブ)、データセンター関連は堅調に推移したが、BEV(バッテリー式電気自動車)向けは低迷。ADAS(先進運転支援システム)やHEV(ハイブリッド自動車)向けは比較的堅調だったものの、世界的な新車販売の低迷の影響を受けた。また、FA機器・設備投資関連の部品は在庫調整が続き、半導体製造装置向け部品もAI半導体関連を除いて調整局面にあった。

 企業規模別では、大手メーカーが総じて堅調だったのに対し、中堅企業は減収減益が目立った。大手企業ではM&A(合併・買収)を通じた事業拡大が奏功し、過去最高の売り上げや営業利益を記録した企業も少なくない。

 1~3月期の見通しも24年10~12月期の傾向が続くとみられ、AIやデータセンター関連の堅調が期待される一方で、産機や車載関連の受注は弱含みが予想される。ICT分野ではAI搭載ノートパソコン(PC)やスマートフォンの需要増加、Windows 10のサポート終了に伴うPC買い替え需要が追い風となる見込みだ。

 ただし、米国の関税政策の不透明感や為替の円高懸念などのリスク要因もあり、企業は市場動向を慎重に見極める姿勢を強めている。通期業績予想では、40社のうち24社が増収を計画、当期純利益も23社が増益または黒字転換を見込む。

 40社合計の通期予想は、売上高が前期比3.0%増の15兆5061億円、営業利益が11.8%増の1兆2746億円、純利益は20.9%増の1兆51億円となっている。