2025.08.08 電気系ものづくりYouTuber イチケン氏「半導体DIY」に挑戦
電気系ものづくりYouTuber イチケン氏
人気の電気系ものづくりユーチューバー、イチケン氏が、自ら半導体を設計し、製造まで行う「半導体DIY」に挑戦している。
通常、半導体の設計・製造には、さまざまなIPや製造を担うファウンドリーとのNDA締結が必要となり、個人で製造まで行うのはほぼ不可能だった。近年、NDAなどの障壁をなくし、半導体の設計開発から製造までをオープン化しようという「オープンソースシリコン」の動きが、世界中で進められている。今回、イチケン氏もこのオープンソースシリコンで半導体のDIYにチャレンジした。
イチケン氏は「大学ではパワーエレクトロニクス関連技術を専攻しており、CMOSインバータを製作したことはあるが、半導体の設計や製造に関わるのは、ほぼはじめての経験。全く知識が無い状態で、半導体の設計・製造をスタートすることはかなりハードルが高い」と話す。
そこでイチケン氏をサポートしたのが、オープンソースシリコンを推進するコミュニティである「ISHI会」だ。同会は半導体の民主化を目指し、23年に設立。現在では約450名の会員で構成され、半導体のオープン化に向けたさまざまな取り組みを行っている。
今回、イチケン氏が設計・製造するのはオペアンプ。まずは回路図を描くところからスタートし、オープンソースの回路図エディターや回路シミュレーションソフトウェアを用いて設計を行った。その後、レイアウト設計を行い、レイアウトの検証、寄生成分を考慮したシミュレーションを繰り返し、現在は設計工程の最終段階に入っている。
イチケン氏が設計した半導体は、最終調整を経て8月中にはテープアウトする予定。その後、ファウンドリーのもとで製造され、26年初旬にチップが完成する予定だ。
イチケン氏は「本格的なモノづくりがしたいと思い、今回オペアンプの設計・製造にチャレンジした。今回はアナログ半導体のオペアンプにチャレンジしたので、次回はデジタル回路への挑戦を検討中。将来的にはオープンソースシリコンでSoCを設計・製造し、自作の“マイ”ラズベリーパイが作れたら面白い」と話す。
今回の半導体DIYの取り組みは、イチケン氏のユーチューブでも配信していくという。チップの完成も含め、乞うご期待。