2025.09.10 英アームがスマホ向け設計基盤「Lumex」発表 AI需要に応えIPからプラットフォームに
Lumexの全体イメージ
英アームは10日、コンピューティングシステムの設計を支援する新CSS(コンピュート・サブ・システム)プラットフォーム「Lumex」の提供を始めたと発表した。新たなCPU(中央演算処理装置)「C1」とGPU(画像処理半導体)「Mali」を統合し、モバイル機器などオンデバイスでAI(人工知能)を活用するためのSoC(システム・オン・チップ)設計基盤を提供する。
同社はこれまでCPUコア「Cortex」を中心にモバイル向けの設計用IP(知的財産)を提供してきたが、AI搭載に向け、CSSを中心とするプラットフォームへの転換を図った。
AIに必要な計算を高速化する命令セットの拡張機能「SME2」との統合も含め、ハードウエアからソフトまでを全体として提供することで、AI搭載の需要に応える。IPベンダーとして知られる同社だが、「プラットフォーム・ファースト」への転換を表明しており、今回の発表はその一環と言える。
オンライン説明会で同社日本法人の横山崇幸社長は、Lumexについて「全く新しいコンピュート・プラットフォ―ム」と強調する。
新CPUのC1は、フラッグシップの「C1-Ultra」から「C1-Nano」まで全4種類をそろえ、ピーク時性能やチップ面積を考慮し自由に選択できる。GPUのMaliは飛躍的に進化し、「Mali G1-Ultra」が描画を行うレイトレーシング性能は前世代比で2倍に向上。AIの推論性能は、最大で20%高速化するなど性能が高まった。全体のAI性能はSME2へ対応することで、最大で5倍に高速化されたという。