2025.09.19 【電子部品メーカー/商社 ASEAN拠点特集】ASEAN拠点 カナデン 日系企業への拡販に力 アウト・ツー・アウトも伸長

守屋 社長守屋 社長

 カナデンのASEAN戦略はシンガポール、タイ、ベトナムから主に日系企業へ拡販する。同地域の商材をインドのような域外へ供給するアウト・ツー・アウトも伸びており、目下は米関税政策の大きな影響もない。

 シンガポールは半導体・電子部品の顧客在庫解消が進み、守屋太社長は「在庫が消えた順に発注があり好転している」と語った。

 タイは工場自動化(FA)コンポーネントでタイヤ関係の動きが鈍いが市場シェアを伸ばす中国の電動車大手に日系タイヤ大手が商機をうかがうことに期待する。

 また現地でタイヤ製造装置を手掛けるグリーン・グロウ・エンジニアリングへのFAコンポーネント供給をカナデン経由にしたことも成果だ。

 ベトナムではソリューションに集中。モノのインターネット(IoT)関連などで受注が増え、日系中心に新規顧客も獲得。工場内設備の通信を担うOPCサーバーに長けた人材を2月に現地幹部に迎え、人脈を生かし現地システム開発事業者(SIer)と連携強化したことが貢献。タブレットを利用する日本製の帳票電子化ツールをオフライン運用できるパッケージも内製し日本に投入予定だ。

 インド市場は2024年時点で「慎重に取り組む」とした守屋社長だが、25年に入り「事業が急速に立ち上がっている」と激変を語った。自動車、電子部品、一般消費財関連で案件をつかんでおり、タイとベトナムでの事業が寄与した。25年発足のインド法人はグリーン・グロウの出資も得ており、同社の製造装置を日系タイヤ大手の現地工場に納入した。日系電機大手が受注した工場建設にはベトナムのIoTソフトを供給している。

 「ソフトは当面ベトナム、ハードはタイで作るものでインドに進出する日系企業をとらえる」と守屋社長はASEAN、南アジア一体の戦略を描く。ただ日系工場建設ラッシュの一因には同国の保護主義的税制もあり、日系メーカーが現地生産する大型コンプレッサー向けに別の日系メーカーが現地生産するモーターを供給するなど生産の現地化への対応も進める。