2025.10.14 NTTドコモビジネス、自動運転「レベル4」の遠隔監視支援 ソリューション提供
「NTT docomo Business Forum'25」で紹介した通信安定化ソリューションのデモ=東京都港区
NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)は、特定条件下で運転手不要な完全自動運転「レベル4」の遠隔監視を支える先進技術をパッケージ化し、「通信安定化ソリューション」として提供を始めた。地域の公共交通機関の運行を支える担い手の不足が深刻化する中、交通手段を補うレベル4の社会実装を後押しする。
レベル4の普及に向けては、車両の状態や周辺状況を遠隔から監視するための環境づくりが不可欠となっている。ただ、基地局の切り替えやエリアの干渉によって無線品質が一時的に不安定となり、遠隔監視の映像が途切れるなど、走行の安全性に影響を及ぼすリスクが懸念。安定した通信環境の確保が求められていた。
そこで同社は、自動運転車両が移動することによる無線品質の変化を先回りで、機械学習に基づき予測できるNTTの技術「Cradio」を用意。これに「協調型インフラ基盤」と「データ伝送機能」を組み合わせ、技術の実証を経て通信安定化ソリューションとして提供することにした。
協調型インフラ基盤は、品質予測の結果と連動しながら複数回線による「マルチパス」の通信制御を行うNTTの技術。複数の通信回線の中から最適な回線を選んでデータを振り分けることで、通信を安定化させるという。データ伝送機能は、車両で集めたカメラ映像やセンサーデータなどを集約し、リアルタイムで遠隔監視システムに連携させる機能だ。
今回、3つの技術をパッケージ化することで、自動運転の社会実装を目指す自治体などで導入時のリードタイムの短縮を図り、より簡易に最先端の通信技術を利用できるようにした。
東京都内で9~10日に開いたNTTドコモグループの法人向けビジネスが集結するイベント「NTT docomo Business Forum'25」の展示ブースで、通信安定化ソリューションを使用した場合と使わないケースの映像品質を比較するデモンストレーションを披露。ソリューションの有効性をアピールした。
今後は、建設機械やロボットなど、安定した遠隔監視を必要とする他分野への展開も視野に入れ、人手不足や作業の安全性確保などの課題解決を支援したい考えだ。