2025.10.20 【あかりの日特集】クラレ 耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」、各種LED用途で採用拡大
ジェネスタの用途例(LED反射板)
クラレは、LED関連材料として、LED反射板用材料の耐熱性ポリアミド「ジェネスタ」を展開する。スマートフォンやタブレット端末向けのほか、LED照明や自動車車室内照明、看板ディスプレー向けLEDなどさまざまな用途で採用されている。
ジェネスタは同社が世界で初めて工業化したノナンジアミン(炭素数9のジアミン)を使用したポリアミド樹脂(PA9T)。芳香環と高級脂肪族鎖からなるユニークな化学構造の半芳香族ポリアミドで、耐熱性や低吸水性、耐薬品性などの優れた特徴を持つ。
融点は306℃と高く高温時物性に優れる。はんだ耐熱性は270℃。低吸水性では表面実装時のブリスター発生を防ぐ。摺動(しゅうどう)性と成形性も評価されている。
ジェネスタの用途は、LED反射板やコネクターなどリフロー対応の電子部品が大半を占めているが、自動車部品向けの需要も拡大している。LED反射板では、スマホやタブレットに加え、液晶テレビバッククライト反射板向けなどで販売を伸ばしてきた。LED照明や自動車(車室内LEDランプ、カーナビなど)向けLEDなどでも引き合いが増加している。
照明用は、中国市場がジェネスタ需要を押し上げている。一方、自動車向けでは、ピッチの小径化に伴って、信頼性の高いジェネスタが評価されており、採用が進んでいる。
ジェネスタ事業では、世界10カ国・13拠点に販売や技術サービスの担当者を配置しており、世界規模のネットワークを生かした展開を図る。国内ではCAE解析を行う「つくば研究センター」(茨城県つくば市)を軸に顧客との共創を推進する。
2023年2月から稼働を開始したタイ新工場は、顧客承認を経て広く市場に浸透しており、顧客の需要拡大に応じて順調に生産量を拡大している。
ジェネスタの優れた高電圧耐トラッキング性は、ULの新規耐トラッキング性規格「UL2597」(最大試験電圧900V)に基づく試験により確認されている。