独インフィニオン・テクノロジーズは、多くの暗号を破ると予測される量子コンピューターに対し、耐量子暗号に対応したセキュリティー用のMCU（マイクロ・コントローラー・ユニット）を発表した。長期使用が想定される電子パスポートやIoT機器などが対象。OEM各社が使用中のデバイスを取り換えることなく組み込むことができる。

　新製品の「SLC27」は、同社の「Integrity Guard 32」アーキテクチャーに基づく、セキュリティー・コントローラーのブランド「TEGRION」の一つ。28nmプロセスを採用する。

量子コンピューターは膨大な計算パターンを同時並列的に処理できるので、現在使われている暗号化アルゴリズムが解読されてしまう。新製品は、NIST（米国標準技術研究所）の標準化を受けた耐量子暗号技術「ML-KEM」「ML-DSA」に対応し、国際認証も受けた。

　ハードウエアを変えずに新しい暗号に対応できるよう、ソフトウエアを更新できる仕組みである「インフィールドアップデート」と、更新後の柔軟な対応を可能にする「暗号敏しょう性」を備える。長期寿命の製品への展開も想定してのことだ。

　同社は既に注文を受け付けている。