2025.10.28 富士通といすゞなど3社、医薬品物流の見える化加速へ 物流プラットフォーム構築の実証実験を開始
富士通は、いすゞ自動車と医療機器の物流サービスを展開するロジスティクスナイト・ジャパン(東京都小金井市)と共に、国内の医薬品の安定供給に向けて製造拠点から調剤薬局・病院までを一元管理する物流プラットフォーム構築の実証実験を11月上旬から開始する。国内医薬品物流の品質・効率・可視性の三位一体改革に向け、物流網の多様な担い手がデータ連携を前提に協業することで、医薬品の「安定供給」と「持続可能な物流」の両立を目指す取り組みとして注目されそうだ。
物流業界の人手不足やドライバーの高齢化や配送コストの上昇といった課題が深刻化する中、品質維持のための厳格な温度管理が求められる医薬品物流では、国内の物流網には十分な量があるにもかかわらず、在庫の偏在や地域的な供給不足、廃棄の増加などが問題となっている。
今回の実証実験は、国土交通省の「物流イノベーション実装支援事業」に採択された共同プロジェクトの一環。医薬品の適正流通(GDP:Good Distribution Practice)ガイドラインに準拠した物流網の理論在庫値と輸送・保管温度の可視化のほか、物流効率化を目指した共同輸送の検証を実施。製造拠点から北海道内の調剤薬局・病院までを対象に、ルート・パレット単位の輸送シミュレーションを行う。作業効率向上に向けては、パレット輸送導入による効果を確認する。
ロジスティクスナイト・ジャパンは医薬品物流のノウハウを提供し、いすゞは運行管理・稼働支援サービス「GATEX」を活用して車両・運行情報の取得システムを提供する。富士通は、内閣府「SIP第二期 スマート物流サービス」プロジェクトで構築したプラットフォーム技術や、サプライチェーン管理(SCM)サービス「Dynamic Supply Chain Management」を提供する。
3社は今後、データ連携をさらに深化させ、物流網全体での品質担保や廃棄削減、在庫偏在の解消を目指す。また、経済産業省・国土交通省が進める「フィジカルインターネット実現会議」の医薬品ワーキンググループと連携しつつ、医薬品物流プラットフォームの本格実装に向けた検討を加速していく。




