2025.10.29 日米両政府が文書公表 60兆円規模の対米投資事業 日立や東芝など日本企業が関心
日米首脳会談に臨んだトランプ大統領(左)と高市首相(首相官邸のホームページより)
日米両政府は28日、トランプ大統領の訪日に合わせて、「日米間の投資に関する共同ファクトシート」を公表した。共同文書には、エネルギーや人工知能(AI)、重要鉱物などに関する事業が盛り込まれ、日立製作所や東芝などの大手企業が名を連ねた。事業規模は約4000億ドル(約60兆円)に及ぶ。
ファクトシートでは、エネルギー、AI向け電源開発、AIインフラの強化、重要鉱物に関する4つの投資分野に焦点を当て、合計で21件のプロジェクトを列挙された。このうち、事業総額が明記された16件を合算すると、3934.5億ドル。経済産業省などによると、米国のサプライチェーン(供給網)強化などにつながる対米投資事業が中心になる。
エネルギー分野では例えば、米原子力発電大手ウエスチングハウスが新型炉建設のプロジェクトで、三菱重工業や東芝、IHIなどの日本企業の関与について検討していると明記。事業規模は最大1000億ドルを見込んでいる。ソフトバンクグループは、大規模な電力インフラ構築のための設計や組み立てから運用やメンテナンスに至るプロジェクトを検討。事業規模は、最大で250億ドル規模と想定している。
AIインフラの分野では、日立がエネルギー損失を抑えながら長距離で電力を送る「HVDC(高圧直流送電)」の設備などを含む電力インフラの供給に関するプロジェクトを検討。三菱電機はデータセンター向け発電に関するシステムや機器供給で、最大300億ドル規模の事業を視野に入れている。さらに、パナソニックや村田製作所、TDKなどの事業も列挙された。
日米両政府は、日本による5500億ドル(約80兆円)の対米投資を盛り込んだ覚書を9月に交わした。両政府は今回、両国の企業がプロジェクト組成に関心を持つことを歓迎。さらに、覚書の対象案件も含めて今後、両国のサプライチェーン強靱化(きょうじんか)に資するさまざまなビジネス上の取り組みが推進されることについて強い期待を表明した。
赤澤亮正経産相は同日の閣議後記者会見でファクトシートに触れ、「プロジェクトをしっかりと積み上げ、日米両国の利益になる取り組みにしていきたい。(大統領が選んだ案件に)われわれが資金面で投資しながら、最終的に大きな果実を生むようなものに育つことを大いに期待したい」と述べた。









