2025.11.04 PFUがLiB検知システム提供開始 廃棄物処理施設の火災防止に貢献
提供開始したPFUのLiB検知システム
スキャナー大手のPFUは、独自の光学・画像認識技術を応用して資源ごみに混入したリチウムイオン電池(LiB)を検知するAI(人工知能)エンジン「Raptor VISION BATTERY」を提供開始した。世界シェア1位を誇るスキャニング技術を活用して廃棄物の分別を自動化する「廃棄物分別特化AIエンジン」シリーズの新製品で、24年4月に提供開始した瓶の色選別自動化システムに続く第2弾となる。
現在、国内の廃棄物処理施設では、LiBが原因となる火災事故が年間1万件以上発生している。近年はモバイルバッテリーや電子たばこなど多様な製品にLiBが搭載され、消費者が電池を取り外さず廃棄するケースが増加している。同社はこの課題解決に向け、LiB検知システムの開発に取り組んだ。
同社が培ってきたX線技術とAIを掛け合わせ、高い認識精度を実現した。
異なるエネルギーレベルのX線を同時に照射するデュアルエナジーX線で材質の特長情報を含んだX線画像を撮影する。その後、独自の認識アルゴリズムを用いたAIエンジンで対象物を正確に特定。除去対象物の位置を特定し、プロジェクターで作業者への位置通知が可能となった。X線画像は垂直と水平の2方向から撮影するため、ごみが混在する中から対象物を認識する。
AIのモデル再学習機能で、検知精度の維持・向上を実現する。検知する物体も経時的に変化するため、現場で得られたデータを継続的に集約・学習してアップデートする仕組みを構築。クラウドサービス機能による時間ごとの対象物の検知数の表示、検知画像や稼働実績データの確認にも対応している。
同システムは、町田市の「バイオエネルギーセンター」で2度の実証実験が重ねられた。資源ごみに含まれたLiBのパターンをAIに学習させ、認識精度の向上を進めた。実証実験後もAIの認識精度の向上に取り組み、現在のLiB検知率は94%に至る。
今回のLiB検知システムの市場投入後も検知率の向上に向けた開発を進めていく計画だ。事業開発本部次世代事業開発室RAPTOR事業開発部の田畑登部長は「今後はAIエンジンの定期的なアップデートやベルトの耐久性向上などに取り組んでいく」と話す。
Raptor VISION BATTERYの価格は1台6000万円~(税別)。








