2025.11.21 OKIサーキット、1.6Tbpsクラス高速伝送PCBの「高周波ビア高精度シミュレーション技術」開発 次世代AIデータセンター支える

 OKIグループのプリント配線板(PCB)事業会社・OKIサーキットテクノロジー(OTC)は、次世代AI(人工知能)データセンター(DC)を支える1.6Tbpsクラス高速伝送PCBの高精度なビア特性制御を実現する「高周波ビア高精度シミュレーション技術」の開発に成功した。新技術の活用で、高周波・高密度化により顕在化する多層PCBのビア特性を制御し、顧客の高速伝送PCBの開発と量産立ち上げの期間短縮に貢献する。

 AI半導体やAIサーバー、DCの大容量化・高速化が進む中、これらの機器に実装されるPCBでは、多層化・構造の複雑化が進んでおり、高速伝送を阻害する伝送損失や信号反射の低減への対策が重要になっている。特に多層PCBの層間を電気的に接続するビアは、高速伝送で使用される高周波信号が変化する構造的な変化点となっており、信号の反射を抑えるビアの特性インピーダンス制御が重要になる。

 高周波用途のPCB開発では、最終的な信号品質を設計段階で検証するSIシミュレーションで用いる高精度なビアモデルが欠かせない。その一方で、基本周波数が50GHzを超える高周波帯域になると、従来のモデリング手法では、製造プロセスやばらつきが起因となる影響や高周波領域での物性値の正確な表現が困難で、実際の特性と相関のとれたシミュレーション結果を得ることが難しく、大きな課題となっていた。

 これらの課題を解決するために、同社は高周波ビア高精度シミュレーション技術の開発に取り組んできた。実現した。具体的には、PCB製造前段階で新技術のシミュレーション結果に基づいて、ビアの構造・寸法・製造マージンを自社工場の製造ラインに合わせて総合的に検証・最適化し、信号品質の要求を満たす最適条件を抽出する。

 同社は長年蓄積してきた評価データをもとに、仕上がり寸法や製造ばらつき、材料物性値などのパラメーターを独自データベースとして構築しており、3次元電磁界解析ツールを活用した高精度なビアモデリングを可能とし、実機の確実な信号特性の確保を実現した。