2026.01.12 【電子部品総合特集】電子部品メーカーに聞く「26年の経営戦略」

車載やAI関連を軸に、26年もグローバルで積極的な事業を展開

 電子部品メーカー各社は、2026年もグローバルで積極的な事業を展開する。電波新聞では主要電子部品メーカーを対象に、「2026年の経営戦略」に関するアンケートを実施した。それによると、26年の電子部品市場は、年間トータルでは成長が予想され、各社の26年度の売上高・営業利益計画も積極姿勢が目立つ。分野別では、自動車関連やAI(人工知能)関連を軸に、さまざまな成長分野でのビジネス成長を目指す。また、AIサーバー・データセンター市場の活況は、「27年春以降も続く」との見方が大勢を占めた。外部環境変化を踏まえた社内体制再構築なども重視されている。アンケートは25年12月上旬に主要電子部品メーカー各社に用紙を配布し、12月末までに回答した29社を対象に集計・分析した。数字はいずれも金額ベース。

01 2026年の電子部品需要

 「26年の電子部品需要(25年比、金額ベース)」の質問では、回答24社中、9割近い21社が「増」と回答し、うち19社は「1桁台の増」と答えた。一方、「減」とした企業は1社も見られなかった。

 25年の電子部品市場は、ICT関連需要の増加や産機市場の在庫調整局面からの回復などにより、比較的堅調に推移した。26年の見通しについては、米中摩擦の先行きや中国景気動向など不透明要因も多いものの、緩やかな回復が続くと予想している企業が多い。

02 2026年前半の円相場の予想(対ドル)

 対ドルの円相場は、22年春以降、急速な円安が進行し、24年6月には38年ぶりに1ドル=160円台に突入した。25年年末時点でも150円台後半で推移するなど、歴史的な円安局面が続いている。電子部品各社の25年度期初時点の想定為替レートは、1ドル=140~145円前後の企業が多かったため、各社の輸出事業の採算性良化につながっている。

 「26年前半の為替相場についての質問(対ドル)」では、回答25社中、最も多かったのは「145~149円」とした10社で、それに次ぐのが「150~154円」とした8社。一方、1ドル=140円を切る予想をした企業は見られなかった。

 26年はFRB(米連邦準備制度理事会)による政策金利引き下げが予測されているほか、日銀の利上げ観測もあり、日米金利差縮小によって為替が円高方向に修正される公算も高いが、年前半段階ではそれほど急激な円高にはならないというのが業界の共通認識となっている。

03 2026年度の売上高目標

 各社の「26年度の売上高目標(25年度見込み比)」を問うと、回答22社中、最多は「10%未満の増」とした15社。「2桁以上の増」とした企業も計5社あり、「20%以上の増」と回答した企業も見られた。「減」としたのは1社にとどまった。

 足元の部品市況は、一部市場でやや弱さも見られているが、26年の電子部品需要は、好調なAI関連やADAS(先進運転支援システム)関連などをけん引役に成長が期待されている。各社は今後も成長市場や成長顧客へのアプローチを通じた事業拡大を目指す。

04 2026年度の営業利益目標

 「26年度の営業利益目標(25年度見込み比)」の質問では、回答23社中、5割強の12社が「2桁以上の増」と回答し、うち8社は「2割以上の増」と回答した。「減」としたのは1社のみだった。

 26年度の各社の営業利益は、増収効果に加え、各社の構造改革や電子部品の売価適正化などを通じた収益性改善も期待されている。

05 2026年度の設備投資計画

 「26年度の設備投資計画(25年度見込み比)は、回答26社中、最も多かったのは「前年並み」の9社、次いで「多少増額する」が8社だった。全体では、11社が「増」と回答し、「大幅に増額する」とした企業も3社を数えた。「減」としたのは計6社だった。

 各社の設備投資は、21年度はコロナ禍により不要不急の投資を抑制する動きも一部見られたが、22年度以降は高水準が継続しており、26年度も前期比プラスアルファの積極的な投資が計画されている。

 「主な投資対象項目(複数回答)」の質問では、最も多かったのは「新製品関係」の46ポイント。以下、「工場の自動化・省力化」「海外工場の開設・拡張」となっている(優先順位を付けて挙げてもらい、1位=3ポイント~3位=1ポイントで集計)。

06 2026年度の研究開発費計画

 「26年度の研究開発費計画(25年度見込み比)」では、回答22社中、トップは「横ばい」の14社。次いで多かったのは「1桁台の増」の7社だった。「減」とした企業は見られなかった。

 「26年度に技術開発で力を入れていく市場・分野(複数回答)」では、回答28社で最多は「自動車関連」の25社。次が「FA・産業機器市場」の20社。以下、「ロボット関連」「通信インフラ市場」「医療機器/ヘルスケア市場」と続く。

 「3年後から5年後を視野に研究開発に力を入れていく市場・分野(複数回答)」では、回答28社中、「次世代自動車」が最多の20社。「次世代通信インフラ関連」が17社で続き、以下、「ロボット」「AIサーバー/データセンター関連」「医療用エレクトロニクス/ヘルスケア」「再生可能エネルギー」の順となっている。車載・産機など非民生分野が上位を占めた。

07 2026年度の販売体制強化策

 「26年度の販売体制強化に向けた重点方針(複数回答)」の質問では、回答25社で最多だったのは「海外販売拠点を強化する」とした21社。「国内拠点を強化する」と答えた企業も13社を数えた。

 海外拠点を強化すると回答した企業への「具体的な内容」についての質問(複数回答)では、最も多かったのは「技術志向の営業体制を強化」とした14社。次いで「営業社員を増員する」が8社となった。「AI活用」「ERPなどのシステム活用強化」と答えた企業も見られた。

 今後も、既存海外拠点へのセールスエンジニアやFAE(フィールド・アプリケーション・エンジニア)の配置強化、ローカル営業担当者の採用強化を計画する企業が多い。

08 脱炭素/カーボンニュートラルへの取り組み

 「脱炭素(カーボンニュートラル)の達成に向けて取り組んでいること(複数回答)」は、最多は「省資源やリサイクルの推進」の24社。次いで「自社全体の数値目標の設定」と「目標達成に向けた具体的な計画策定」がともに20社、以下、「自社オペレーションでの再生エネルギー活用」「環境配慮製品の開発」などの順となった。

 「自社オペレーションでの再生可能エネルギー活用の有無」では、回答25社中、約7割の17社が「導入済み」と回答し、2社が「近く導入予定」と答えた。

 「企業活動を通じたカーボンニュートラル達成時期」の質問では、回答23社の約7割の16社が「2050年まで」と回答したが、2045年以前を目標時期とした企業も計4社見られた。

09 自社業務へのAI活用

「自社業務へのAIの活用状況」について尋ねると、回答28社中、「活用を始めている」としたのは17社で全体の6割強に達した。「活用準備を進めている」という企業も6社見られた。

 自社業務でのAI活用の「具体的な内容」の質問(複数回答)では、最多は「工場の生産性向上や品質向上」と「開発業務の効率化」がそれぞれ13社。次いで、「営業・マーケティングでの活用」が9社となっている。

10 米中摩擦、米国関税政策、地政学リスクへの対応

 「米中摩擦や米国関税政策、地政学リスクの高まりなどを見据えた社内体制見直し」についても質問。回答24社中、「見直しを行う」としたのは20社で、全体の8割強に達した。

 見直しを行うと回答した企業への「具体的な内容」の質問(複数回答)では、トップが「生産拠点のグローバルでの分散化」の16社。以下、「サプライチェーンの見直し・変更」「国内生産強化」「グローバル物流体制の見直し・強化」の順となっている。

 「グローバル生産体制拡充や最適化を進める上で、今後生産比率を高めるエリア(複数回答)」の質問では、最多は「東南アジア」と「日本」の15社。3位は「中国」だった。

 電子部品業界では、チャイナリスクへの対応や地産地消要求の強まりから、2010年代以降、ASEAN生産シフトが進んだが、直近ではASEANシフトとともに、日本回帰の動きも強まっている。同時に、地産地消の観点から、「中国の生産比率を高める」とした企業も見られる。

アンケート回答企業一覧(29社・五十音順)
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