2026.02.05 ダッソー・システムズ、エヌビディアと戦略提携 「産業AI」でプロセス革新を加速

記者団の質問に応じるダッソー・システムズのパスカル・ダロズCEO(右)と、エヌビディアのジェンスン・フアンCEO=米ヒューストン 

エヌビディアのフアンCEOはダロズCEOに対し、「四半世紀にわたるパートナーシップは非常に大切なものだ」と述べたエヌビディアのフアンCEOはダロズCEOに対し、「四半世紀にわたるパートナーシップは非常に大切なものだ」と述べた

 仏ダッソー・システムズは、米テキサス州ヒューストンで開かれている年次イベント「3DEXPERIENCE World 2026」で3日(現地時間)、米半導体大手のエヌビディアと戦略的パートナーシップを締結したと発表した。両社は連携を強化し、AI(人工知能)を活用した産業プロセスの革新を後押しする。

 ダッソー・システムズは、工場や生産工程を仮想空間に再現する「バーチャルツインファクトリー」を手がけている。今回の提携では、この技術にエヌビディアの産業向けAI技術を組み合わせ、「産業AIプラットフォーム」を構築し実装する取り組みを加速する。

 ダッソー・システムズのパスカル・ダロズ最高経営責任者(CEO)は「当社はエヌビディアと連携し、バーチャルツインと(計算処理を高速化する)アクセラレーテッド・コンピューティングを統合した産業向けの世界モデルを構築する。これにより、生物学、材料科学、工学、製造分野での複雑なシステムの設計、シミュレーション、運用を強力に支援する」とコメントしている。

 ダッソー・システムズは、同社のクラウドサービス「OUTSCALE」上で、企業向けAI基盤「AIファクトリー」を展開している。この「OUTSCALE AIファクトリー」では、エヌビディアの高性能なAI向けインフラを活用。設計から製造、運用までを一元管理するダッソー・システムズのデジタル基盤「3DEXPERIENCE」上で、AIモデルを運用するための機能を追加した。

 これにより、顧客企業はデータプライバシーや知的財産の保護、データ主権を確保したままAIを活用できるとしている。一方でエヌビディアは、ダッソー・システムズの設計手法「モデルベースシステムエンジニアリング(MBSE)」を活用し、AIファクトリーの設計に取り組んでおり、両社の協業関係は一段と深まっている。

 こうした取り組みにより、3DEXPERIENCE上で利用する設計業務の支援AI「バーチャルコンパニオン」を、各産業に特有の業務内容を理解できるよう強化。実用的で信頼性の高いサポートを実現していく。 

 また、ダッソー・システムズの数値解析向け総合ソリューションブランド「SIMULIA」では、エヌビディアの高速計算向けソフトウエア群「CUDA‑Xライブラリ」やAIを活用した物理解析ライブラリを取り入れる。これにより設計者やエンジニアは、解析結果を高い精度で短時間に予測できるようになる。

フアンCEO、インフラの将来像を展望

 同日に行われた基調講演では、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが登壇し、「すべての企業のエコシステムは、アクセラレーテッド・コンピューティングとAIによって加速、拡大される」と述べた。その上で、「世界が再び工業化し始めているこの時期に、人類史上最大規模の産業インフラの構築が始まっており、推定では今後10年間で約185兆ドル規模に達する」と、AIがもたらす産業革新の可能性に期待感を示した。