2026.01.23 富士通、ブロックチェーンで「グリーン鉄」環境価値流通を検証 経産省調査事業に採択

環境価値流通のイメージ

 富士通は、鉄鋼業界で拡大する「グリーン鉄」の環境価値をサプライチェーン全体で流通させる仕組みの検討に乗り出した。経済産業省の調査事業に採択され、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用して環境価値の真正性と取引の秘匿性を両立させるデータ流通基盤の有効性を検証する。実証実験は2026年2月まで実施し、製造業全体の脱炭素化につなげる。

 経済産業省が推進する「令和7年度産業関係調査等事業」で、「サプライチェーン間での鋼材と紐付いたグリーン鉄情報の伝達に係る調査事業」として同社が採択された。

 鉄鋼は製造業や建設業など多くの産業で用いられる基礎材料で、広範に流通している一方、鉄鋼業界の二酸化炭素(CO₂)排出量削減は喫緊の課題となっている。業界ではガイドラインに基づきGX(グリーントランスフォーメーション)マスバランス方式やGXアロケーション方式などでグリーン鉄を生産・提供しているが、サプライチェーン下流まで環境価値が十分に流通していない課題があるという。

 今回の調査事業では、同社が有するCO₂排出量削減素材に関する知見に加え、ブロックチェーン技術やデータ流通基盤に関する知見を活用し、グリーン鉄が持つ環境価値の真正性と取引の秘匿性を担保しつつ、安全なデータ流通の実現を目指す。実証実験は2025年12月から2026年2月まで実施する予定で、鉄鋼業界を起点に製造業全体の脱炭素化を加速し、持続可能なサプライチェーン構築につなげるのが狙い。

 調査では、鉄鋼メーカーがグリーン鉄製造を通じて発行する削減証書などの環境価値が、複製や毀損(きそん)により価値が増減することなく、商社や需要家などサプライチェーン全体で流通する仕組みを検討する。併せて、仕組み適用時に生じる商慣習上・業務上の課題も確認する。

 実証では、富士通の事業ブランドUvanceのオファリングモデル「Sustainability Value Accelerator」を活用し、データ流通基盤の環境を構築する。各鉄鋼メーカーの協力の下、第三者認証を取得した削減証書を流通させ、環境価値の一意性担保、二重販売防止、中間財業者を介した場合や異なる商流を経由した場合の価値維持などを検証する。