2026.06.15 日本騒音制御工学会「環境デザイン賞」受賞 パナソニックHDとパソナ日本総務部共同研究

ハイレゾ自然音による心理印象評価とオフィス適用例

 パナソニック ホールディングスとパソナ日本総務部(大阪市中央区)が共同で取り組んだ「オフィスにおけるバイオフィリック・サウンドデザインの開発と実オフィスへの展開」が、日本騒音制御工学会の2025年度「環境デザイン賞」を受賞した。

 植栽などの視覚的要素に加え、自然音の種類が人に与える影響を科学的に検証したほか、研究で得られた知見を実際のオフィス空間に導入し、長期的な効果検証まで実施した取り組みが評価された。

 研究成果で得られた知見は、26年4月から本格稼働しているパナソニックHDの研究・開発中核拠点「Technology CUBE(テクノロジー・キューブ)」で、WELL認証のイノベーション評価にもつながる形で取り入れられている。

 現在、パナソニックHDは、屋久島などで独自に収録したハイレゾ自然音をTechnology CUBEで活用し、大空間における新たな環境デザインの実証を行っている。

 今回受賞した研究成果と同様に、自然音が人に与える心理的効果に着目し、ウェルビーイング向上に貢献する空間づくりの研究開発を進めている。

 近年「バイオフィリックデザイン」が注目されている。これは、人間や動物などの生物が潜在的に自然を求め、好む傾向・本能があるという「バイオフィリア」理論の概念を反映した空間デザイン手法で、オフィス環境の質向上やウェルビーイング向上の観点から注目を集めている。

 一方、これまで多くの取り組みは植栽などの視覚的要素を中心とするものが多く、自然音などを含めた聴覚要素を組み合わせた空間設計については、十分検証が行われていなかった。

 こうした背景から両社は、20年より、パナソニックの高級オーディオブランド「Technics(テクニクス)」の音響技術を活用したハイレゾ自然音と、植栽を取り入れたバイオフィリック空間を組み合わせ、人に与える影響を検証する共同研究を開始した。

 バイオフィリック空間に適した自然音の種類と音量レベルを明らかにするため、21年には、辻村壮平准教授(現・日本大学工学部、研究実施/当時・茨城大学)の協力のもと、オフィス環境を想定した心理印象評価を行い、自然音の種類による影響を分析した。

 さらに、実験室で得られた知見を基に、視覚と聴覚の調和を意識したバイオフィリック空間を実際のオフィスへ導入し、長期的な効果検証を実施した。

 この結果、バイオフィリックデザインでは視覚要素に加え、聴覚要素を含めた統合的な設計が重要で、視覚的要素と聴覚的要素を組み合わせた空間が、オフィスで働く人々の快適性や、ウェルビーイング向上に継続的に寄与する可能性が確認された。

 両社は今後も、この研究成果で得られた知見を生かし、自然音と植栽を組み合わせた空間づくりの研究・実装を進めることで、働く環境の質向上と、働く人々のウェルビーイング実現に貢献していく考えだ。